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 鴻池組と中部電力グループのシーテック(名古屋市)は、城の堀の浚渫(しゅんせつ)に水中排砂ロボットと脱水固化処理を組み合わせた「サブマード工法」を初めて採用した。堀に面して立つ天守などの景観を阻害する作業船の使用を控えられる。

鴻池組が松本城の内堀の浚渫実験で採用した水中排砂ロボット(写真右端)。堀端に仮設した構台から水中に沈めて使用する。同城には現存する江戸時代以前の城郭建築として国内有数の規模を持つ大天守などが残る。大天守を中心とする建築群が内堀に面して立つ景観の美しさで、独特の価値を持つ文化遺産だ(写真:鴻池組)
鴻池組が松本城の内堀の浚渫実験で採用した水中排砂ロボット(写真右端)。堀端に仮設した構台から水中に沈めて使用する。同城には現存する江戸時代以前の城郭建築として国内有数の規模を持つ大天守などが残る。大天守を中心とする建築群が内堀に面して立つ景観の美しさで、独特の価値を持つ文化遺産だ(写真:鴻池組)
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浚渫作業中。水中排砂ロボットはGNSS受信機を除くと水面下に隠れる(写真:鴻池組)
浚渫作業中。水中排砂ロボットはGNSS受信機を除くと水面下に隠れる(写真:鴻池組)
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 両社は長野県松本市にある松本城の堀で、市が実施した複数の浚渫工法の実証実験に参加。サブマード工法で300m2の範囲の泥土を浚渫した。

 実証実験では、シーテックが開発した水中排砂ロボットを陸上から操作。ゴム製の走行ベルトで堀の底を走行し、堆積した泥土を前面のスクリューでかき集めてポンプで陸上へ圧送した。ロボットは水面下で稼働し、すくい取った泥土が水中に拡散しないため、鴻池組は機械の騒音や堀内の濁り、悪臭の発生を抑制できる点もこの工法の長所として挙げる。

国指定の史跡で都市公園でもある城内には4t車までしか入れないため、小型の水中排砂ロボットを使用した。21年2月に14日間の浚渫作業で、内堀のうち300m2の底面から、深さ1mの堆積泥土をすくい取った(写真:鴻池組)
国指定の史跡で都市公園でもある城内には4t車までしか入れないため、小型の水中排砂ロボットを使用した。21年2月に14日間の浚渫作業で、内堀のうち300m2の底面から、深さ1mの堆積泥土をすくい取った(写真:鴻池組)
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 堀底は起伏が激しかったり、巨石が埋まっていたりしたので、全ての作業をロボット任せにはできなかった。堀に浮かべた台船でロボットを吊り上げて移動させることもあった。堆積土層が厚いので、底の地形を事前に把握するのは困難だったという。

 それでも、ロボットと台船の設備は比較的コンパクトなため、城の景観を損ねることなく施工を終えられたとしている。