全1691文字
PR

 国土交通省が初めて全国規模で実施した公共事業におけるCM(コンストラクション・マネジメント)方式の活用調査で、土木への導入が建築に比べて遅れている実態が浮き彫りとなった。

 「CMが普及すると職を失う」という自治体職員の危機意識が背景にあるとみられる。職員不足に悩む自治体を支援するためのCMが、自治体からの反発で普及が進まないジレンマに陥っている。

CM方式を活用した土木事業の都道府県別の発注件数。国土交通省のアンケートで、建設コンサルタンツ協会の加盟企業が挙げた件数(資料:国土交通省)
CM方式を活用した土木事業の都道府県別の発注件数。国土交通省のアンケートで、建設コンサルタンツ協会の加盟企業が挙げた件数(資料:国土交通省)
[画像のクリックで拡大表示]
CM方式を活用した建築事業の都道府県別の発注件数。国土交通省のアンケートで、日本コンストラクション・マネジメント協会の加盟企業が挙げた件数(資料:国土交通省)
CM方式を活用した建築事業の都道府県別の発注件数。国土交通省のアンケートで、日本コンストラクション・マネジメント協会の加盟企業が挙げた件数(資料:国土交通省)
[画像のクリックで拡大表示]


 CMは、建設事業の設計、発注、施工の各段階で、「コンストラクションマネジャー」と呼ばれる技術者が中立的な立場で発注者の業務を支援する契約方式だ。土木では建設コンサルタント会社が、建築では設計事務所などがCM業務を担うケースが多い。

 国交省は、土木・建築職員が減少している自治体の発注業務を支援する契約方式として、特に小規模な自治体への活用を促している。2020年9月には、主に小規模な自治体を対象としたガイドラインも作成した。

 それでも、国交省が例年実施している自治体調査では、20年度までにCMを活用した実績などがある都道府県・政令市は全体の22%にとどまる。同様に、人口10万人以上の市区では7%、10万人未満の市区町村では3%と極めて少ない。国交省の意図とは裏腹に、自治体が小規模になるほど活用が進んでいないのが実情だ。

自治体のピュア型CM方式(施工上のリスクを負わない方式)の取り組み状況。「活用状況」の各年度の実績は累積値(資料:国土交通省)
自治体のピュア型CM方式(施工上のリスクを負わない方式)の取り組み状況。「活用状況」の各年度の実績は累積値(資料:国土交通省)
[画像のクリックで拡大表示]

 そこで国交省は20年12月、公共事業での活用状況をさらに詳しく調べるため、建設コンサルタンツ協会(JCCA)と日本コンストラクション・マネジメント協会(CMAJ)の加盟企業を対象に、過去に国内で受注したピュア型CM方式(施工上のリスクを負わない方式)を活用した事業の発注者や施設用途などをアンケート方式で尋ねた。国交省のCM活用調査では初の試みだ。