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 災害調査などで地形の計測に威力を発揮するレーザードローンに、新顔が登場する。ドローンによる測量や点検サービスを手掛けるテラドローン(東京・渋谷)の「Terra Lidar One」だ。機体のほか、解析や保険などの費用も含めて1000万円を切る価格で提供する。2021年4月から説明会などを開催し、同年7月にも発売する。

Terra Lidar Oneの外観(写真:テラドローン)
Terra Lidar Oneの外観(写真:テラドローン)
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 レーザードローンは、小型の3次元レーザースキャナーやGNSS(衛星測位システム)、スキャナーの姿勢や加速度を計測するIMU(慣性計測装置)を搭載。地上に向かって近赤外レーザーを照射し、反射されるレーザーの時間差を基に地形を測量・計測する。樹木が生い茂っていても、地表面の3次元点群データ(3次元の座標値を持つ点の集まり)を取得できるのが特長だ。

 Terra Lidar Oneは、中国DJIが20年5月に発売した産業用ドローンプラットフォーム「Matrice 300 RTK」をベースとしている。機体はプロペラを折り畳むと43cm角の立方体に収まるサイズになるため、コンパクトで持ち運びやすい。

 レーザースキャナーには、DJIから独立した中国Livox Technology Companyが20年10月に発売した長距離向け小型LiDAR(ライダー)の「Avia」を採用している。最大測定距離は450m、測定回数は最大で毎秒24万点だ。GNSS/IMUにはカナダApplanix製の「APX-15 UAV」を用いた。取得できる3次元点群データの精度は5~10cm。50ヘクタールの計測が1時間ほどで済む。

 年間40万円の利用料で、データの解析サービスも提供する。取得したデータをクラウドに上げると、樹木などの点群も含んだ「オリジナルデータ」を翌日に、不要な点を除いた地形データ(グラウンドデータ)を数日後に納品する。発注者に提出する帳票の作成なども自動化した。従来は解析用の高価なコンピューターや数百万円ほどする海外製の解析ソフトウエアを用い、ユーザーが自らデータを処理する必要があった。

左2点がオリジナルデータ、右がグラウンドデータ(資料:テラドローン)
左2点がオリジナルデータ、右がグラウンドデータ(資料:テラドローン)
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