全1430文字
PR

 九州で建設会社が経営事項審査(経審)の完成工事高を水増しする事件が相次いで発覚している。長崎県と熊本県では地元の建設会社が土木一式などで架空の完工高を計上。両県が2021年4月、各社に営業停止を命じている。3年前には宮崎県でも同様の問題が起こり、県が建設会社を刑事告発する事態に発展している。

 長崎県は、過去5年以上にわたって経審の完工高を水増ししてきた建協(長崎県佐世保市)に対し、21年4月16日から45日間の営業停止とした。不正が複数年に及んだため、対象期間を通常の30日間よりも長くした。

長崎県は、経営事項審査で完成工事高を水増しした建協を2021年4月16日から45日間の営業停止とした(資料:長崎県)
長崎県は、経営事項審査で完成工事高を水増しした建協を2021年4月16日から45日間の営業停止とした(資料:長崎県)
[画像のクリックで拡大表示]

 県によると、建協は1978年に設立され、93年に県の建設業許可を取得した。主力の土木一式と建築一式では、ともに最上位のAランクの格付けだ。近年では、2017年度と18年度に土木一式でBランクになったが、他はAランクを維持してきた。

 不正が発覚したのは、21年3月10日。地元の建設会社を対象とした毎年恒例の元請けと下請けの取引関係の調査で、県が建協に立ち入り検査に入った。その際、建協が経審で申告した民間工事について、下請けと交わした仕様書の提出を求めると、同社が「仕様書はない」と回答した。不審に思った県が問い詰めたところ、同社が経審の虚偽申請を認めた。

 そこで、県は建協の過去の経審を調査。同社が16年3月31日を審査基準日とする経審から5年間にわたって、架空の民間工事の完工高を計上していた事実が判明した。不正の対象は、土木一式、建築一式、とび・土工、管、塗装、防水の6業種で、総額約21億円に上る。

 県は経審の際、建設会社に民間工事の契約書の写しを提出するよう求めている。建協が契約書の印影を巧妙に偽造したため、県は不正を見抜けなかった。県の調べに対し、18年に就任した社長は「先代の社長の頃からやっていた」と証言した。ただ、同社には16年以降の書類しか残っていなかったため、県はそれ以前の不正を調査できなかった。