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 熊本県の球磨川支流で建設を検討している川辺川ダムを巡り、従来計画に基づく試算では、降雨量が2020年7月豪雨の1.3倍以上になった場合に緊急放流の必要が生じることが分かった。

川辺川ダムの従来計画における緊急放流の検討結果。国土交通省九州地方整備局が公表した。着色は日経クロステック(資料:国土交通省九州地方整備局)
川辺川ダムの従来計画における緊急放流の検討結果。国土交通省九州地方整備局が公表した。着色は日経クロステック(資料:国土交通省九州地方整備局)
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 ダム建設を担う国土交通省九州地方整備局が21年5月11日に公表した。川辺川ダムは流水型とする方向で検討しているが、まだ諸元が固まっていないため、従来計画の貯留型で試算した。緊急放流の要件を明らかにするのは初めて。

 緊急放流とは、ダムが満水に近くなった際に、決壊などを防ぐために流入量とほぼ同量を放流する操作のことだ。国交省は「異常洪水時防災操作」と呼んでいる。

 県と流域市町村などで構成する球磨川流域治水協議会の会合で、九州地整が公表しなかったことから、問題視する向きがあった。九州地整では、「異常洪水時防災操作に対する住民らの懸念は重々承知しているので、検討結果がまとまった時点で公表した」(山上直人河川計画課長)と説明している。

 公表資料は、従来計画における利水容量全てを洪水調節に利用したときの治水効果を知りたいという流域市町村長の要望を受けて検討した内容だ。

球磨川流域治水協議会が2020年12月に開いた第2回会合で、国土交通省九州地方整備局が川辺川ダムの従来計画における緊急放流の検討結果を示さず、一部で問題視されていた。写真は、協議会が20年10月に開いた初会合の様子(写真:国土交通省九州地方整備局)
球磨川流域治水協議会が2020年12月に開いた第2回会合で、国土交通省九州地方整備局が川辺川ダムの従来計画における緊急放流の検討結果を示さず、一部で問題視されていた。写真は、協議会が20年10月に開いた初会合の様子(写真:国土交通省九州地方整備局)
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