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 西武鉄道の西武新宿駅と東京メトロ丸ノ内線やJRの新宿駅を結ぶ地下通路の整備計画に逆風が吹いている。

 西武ホールディングスが2021年5月13日に発表した21年3月期連結決算は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、最終損失が723億円と過去最大の赤字幅となった。地下通路の整備を担う傘下の西武鉄道も主力の旅客運輸収入が708億円と前期比で28.8%減少した。

 西武鉄道にとって新宿駅への“延伸”は、70年前の西武新宿駅の開業時、30年前のバブル経済期に続く、3度目の挑戦となる。ただ、コロナ収束後も輸送人員の回復は難しいとみる向きは多い。長期に及ぶ地下通路の整備は経営の重荷になりかねない。先行きには不透明感が漂っている。

東京都新宿区による地下通路(赤色の矢印)の都市計画手続き開始を受け、西武鉄道が本格的な検討を始めた。延長は約140m、有効幅員は6m。都が整備を計画している新宿歩行者専用道第3号線との接続部は幅18mと、空間にゆとりをもたせる計画だ(資料:東京都新宿区)
東京都新宿区による地下通路(赤色の矢印)の都市計画手続き開始を受け、西武鉄道が本格的な検討を始めた。延長は約140m、有効幅員は6m。都が整備を計画している新宿歩行者専用道第3号線との接続部は幅18mと、空間にゆとりをもたせる計画だ(資料:東京都新宿区)
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 西武鉄道が整備する地下通路は、西武新宿駅と接する靖国通り直下の地下街「新宿サブナード」と、丸ノ内線新宿駅のある新宿通り直下の地下街「メトロプロムナード」を結ぶ。両地下街は既にコの字につながっているが、それをロの字にするように新たな地下通路を整備する。新設する地下通路の延長は約140mで、有効幅員は6~18m。

 現在、西武新宿駅から丸ノ内線やJRの新宿駅に行くには、地上と地下の2通りのアクセス方法がある。地上の場合、靖国通りと駅前広場を横断する必要があるが、横断歩道と広場内の通路が少なく、移動しにくい。

 地下の場合、新宿サブナードからメトロプロムナードへとコの字に移動しなければならず、遠回りになる。地下だけを通れば、移動に11分ほどかかる。新たな地下通路ができれば5分程度に半減できるという。

西武新宿駅と新宿駅(JR、丸ノ内線)との歩行者動線。右図のオレンジ色の矢印が新たに整備する地下通路(資料:東京都新宿区)
西武新宿駅と新宿駅(JR、丸ノ内線)との歩行者動線。右図のオレンジ色の矢印が新たに整備する地下通路(資料:東京都新宿区)
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 西武鉄道は21年4月26日、東京都新宿区の都市計画手続きの開始を受け、地下通路整備の具体的な検討を進めると発表した。新宿区は21年夏ごろに都市計画案を作成し、年内に開く都市計画審議会で決定する予定だ。西武鉄道は都市計画決定後に整備事業を本格化的に始める。今のところ、工事期間などは未定だ。