山口県の青海島と本土を結ぶ青海大橋(山口県長門市)で、橋桁の浮き上がりを防ぐために橋脚や橋台と結んでいた鉛直方向のPC鋼棒が2本破断していることが分かった。同じ形式の上関大橋(同県上関町)では2020年11月に鉛直PC鋼棒の破断で桁端部が跳ね上がり、路面に段差が生じている。この事故を受け、県が21年5月7日に実施した点検で明らかになった。
県は同日中に通行規制を実施。その後の調査で安全性が確認できたとして、5月20日に規制を解除した。
青海大橋は、島と本土をつなぐ唯一の陸路だ。島から本土に向かう「下り線」と、逆方向の「上り線」の2本の橋が隣接している。下り線は1966年、上り線は91年に完成した。
橋長は260mで、下り線の島側から140mの3径間は有ヒンジラーメン箱桁橋だ。上関大橋と同じく、中央部にヒンジがある「ドゥルックバンド」形式を採用。桁端部に上向きの力が作用するので、直径27mmの鉛直PC鋼棒で桁と橋脚などをつないでいる。この鋼棒が破断すれば、落橋などの致命的な事故につながる恐れがある。
県は21年5月7日、下り線の箱桁橋の両端部で鉛直PC鋼棒の目視点検と触診を実施。本土側の橋脚上で、鋼棒を覆うゴム製カバーの一部で膨らみを確認した。
県は同日午後6時から下り線を封鎖し、上り線を使った交互通行に規制した。さらに、ゴム製カバーを撤去し、桁端部の橋脚と橋台に12本ずつ設置された鉛直PC鋼棒を調査。破断の他、腐食や層状剥離とみられる異常が見つかった。