木曽川に架かる川島大橋(岐阜県各務原市)が橋脚の不同沈下で傾斜し、2021年5月28日から通行止めになっている。路面の傾きに気づいた通行人の通報で判明した。河床の一部が洗掘によって橋脚の基礎底面よりも下がり、隙間ができていた。
岐阜県道松原芋島線が通る川島大橋は、橋長343.5mの5径間鋼連続下路式トラス橋だ。1962年の完成から60年近くがたつ。橋を管理する県は18年7月に実施した直近の定期点検で、健全度を早期に措置が必要なIIIと判定。しかし、「下部工についての指摘は特になかった」(県道路維持課の山岸克則管理調整監)。21年5月20日に実施した道路パトロールでも、路面の傾きなどは見られなかったという。
上流側に0.86度傾く
しかし6日後の5月26日、県は橋を通行した住民から、「歩道が傾いているのではないか」と通報を受けた。調査したところ、右岸寄りのP4橋脚の上端が上流側で約20cm沈下し約1.5%、角度に換算すると0.86度傾いていることが判明した。上部構造もこの橋脚付近で上流側に約14.4cm沈下し、水平方向に約33cm変位していた。
県はP4橋脚の周囲の河床を調査し、洗掘を確認した。上流側で橋脚の基礎底面と川底との間に56cmの隙間が生じ、橋脚が傾いていた。木曽川では21年5月の大雨で、近隣の観測所が過去35年間で5番目に高い水位を記録するほどの出水があった。その影響で激しい洗掘が生じたと県はみている。