横浜湘南道路のトンネル工事で、地中のH形鋼に接触して停止していたシールド機が1年7カ月ぶりに掘削を再開した。シールド機の前面に深さ約30mのたて坑を構築し、チャンバー内に入り込んだ鋼材の破片を取り除く必要があったため時間がかかった。国土交通省横浜国道事務所が2021年6月29日に発表した。24年度に予定している開通時期の見直しは必至だ。
工事を担当する西松建設・戸田建設・奥村組JVが19年11月、シールド機の異変に気づいた。発進たて坑から藤沢インターチェンジ(IC)に向けて西へ400mほど掘進し、交差する境川手前の左岸に差し掛かった時だった。
掘削を中断して周囲をボーリング調査すると、境川の堤防の下に幅40cm、長さ30mのH形鋼が複数埋まっていると判明した。何らかの工事で造られた仮設構造物の杭が残置されたとみられるが、詳細は分かっていない。
横浜国道事務所によると、境川を管理する神奈川県の施設管理台帳に記録がなく、事前に把握できなかった。様々な工事での利用が考えられ、必ずしも河川工事に関連したものとは言えないという。
当初は進路上のH形鋼を全て地上から引き抜いて、早期に掘削を再開する予定だった。しかし、障害となった13本のH形鋼を引き抜いたところ、3本がシールド機に引っ掛かるなどして破断。一部がシールド機の前面やチャンバー内に残ってしまった。
事態の長期化を予測した横浜国道事務所は、20年6月にシールド機の停止を公表した。対策を検討し、残存する鋼材を除去するためにシールド機の前面にたて坑を掘ることを決定。20年9月から河川下の地盤改良などに着手し、ライナープレートを継ぎ足しながら約30mの深さまで掘削した。工事は西松建設JVが担当した。