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 飛島建設など3社は、山岳トンネルの工事でコンクリートを吹き付ける際、壁面に可搬式の型枠を押し当てて材料ロスや粉じんの発生を抑える「Smart Lining System(スマート・ライニング・システム)」を共同で開発した。エム・シー・エス(山梨県韮崎市)が重機の改造を、すばる建設(埼玉県三郷市)が施工性の検討などを担当した。

スマート・ライニング・システムの試験施工の様子。鋼製の支保材に蓋をするように型枠を押し当て、中にコンクリートを吹き付ける(写真:飛島建設)
スマート・ライニング・システムの試験施工の様子。鋼製の支保材に蓋をするように型枠を押し当て、中にコンクリートを吹き付ける(写真:飛島建設)
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 開発したシステムは、H形鋼の支保材を建て込む「エレクター」とコンクリートの吹き付け機が一体となった汎用機を用いる。ノズルの可動域を広げるなどの改造を施した。

 作業手順は以下の通りだ。まずエレクターで、一辺数メートルの専用型枠をつかむ。次に、設置済みの2つの支保材に蓋をするように型枠を押し当て、トンネル壁面との間に空間を形成。その中に吹き付け機のノズルを向け、コンクリートを噴射する。1回の作業時間は2分ほど。コンクリートの硬化後に、型枠を移動させて同じ作業を繰り返す。

左が従来の吹き付け作業。右が開発したシステムによる施工。従来工法では、粉じんやコンクリートの跳ね返りが発生する。2021年4月に国のガイドラインの改正でトンネル坑内の粉じん濃度の目標値が1m3当たり3mgから2mgに引き下げられ、施工環境の一層の改善が必要となっている。跳ね返りによる材料ロスに伴う費用負担も課題だった(資料:飛島建設)
左が従来の吹き付け作業。右が開発したシステムによる施工。従来工法では、粉じんやコンクリートの跳ね返りが発生する。2021年4月に国のガイドラインの改正でトンネル坑内の粉じん濃度の目標値が1m3当たり3mgから2mgに引き下げられ、施工環境の一層の改善が必要となっている。跳ね返りによる材料ロスに伴う費用負担も課題だった(資料:飛島建設)
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 従来の吹き付けでは、液状の急結剤を添加したコンクリートを壁面に高圧で噴射するのが一般的だった。コンクリートは数秒で硬化するものの、約2割が跳ね返ってしまう。地山が脆弱だと、吹き付けの勢いで壁面が削れる場合もあった。開発したシステムだと、型枠によって跳ね返りをほぼ防げる。高い圧力をかけずに済むので、地山を傷つける心配もない。

 飛島建設などは、開発したシステムに最適なコンクリートの設計にも取り組んだ。急結剤を用いた場合、型枠内に噴射する最中に固まってジャンカが発生する恐れがあるからだ。特殊な混和剤を用いて可塑性を高め、硬化までの時間を30秒~1分30秒に調整した。その間に吹き込みの空気圧や型枠振動機で締め固め、品質を高める。

エレクターとコンクリート吹き付け機が一体化した汎用機を改造した。手を加えた箇所を、飛島建設のイメージカラーである青にペイントしている。例えば、型枠内で吹き付けやすいようにノズルが2段階に回転するようにした(写真:飛島建設)
エレクターとコンクリート吹き付け機が一体化した汎用機を改造した。手を加えた箇所を、飛島建設のイメージカラーである青にペイントしている。例えば、型枠内で吹き付けやすいようにノズルが2段階に回転するようにした(写真:飛島建設)
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