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 国土交通省荒川下流河川事務所は、堤防や流域市街地の3次元モデルをGIS(地理情報システム)上に集約したプラットフォームを構築し、工事発注時の情報共有や維持管理の効率化、防災情報の発信などに活用する。2021年7月5日、全国初の3次元河川管内図「Arakawa Digital Twin online(荒川・デジタルツイン・オンライン)」を公開した。

荒川・デジタルツイン・オンラインの画面。ブラウザー上で表示して操作できる。流域市街地の3次元モデルには、外壁や窓などをテクスチャーとして貼り込んだ。現時点では閲覧のみで、データのダウンロードや加工はできない(資料:国土交通省荒川下流河川事務所)
荒川・デジタルツイン・オンラインの画面。ブラウザー上で表示して操作できる。流域市街地の3次元モデルには、外壁や窓などをテクスチャーとして貼り込んだ。現時点では閲覧のみで、データのダウンロードや加工はできない(資料:国土交通省荒川下流河川事務所)
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 荒川下流域の3次元モデルに加え、水深の段彩図やMMS(モービル・マッピング・システム)で取得した堤防の点群データなどを地図上に一元化している。上空から鉛直方向と斜め方向を同時に撮影できる「オブリークカメラ」で撮った写真を使い、建物などの3次元モデルの外観をリアルに再現した。21年3月に国交省が公開した3次元の都市モデル「PLATEAU(プラトー)」も読み込めるようにした。

 用途の1つが、工事発注時の情報提供だ。河川工事の発注では通常、平面図や断面図など2次元の図面で現況を示す。ただし、河川の断面図は20mおきに1枚しかないので、図面がない区間で工事契約後に支障物などが見つかってトラブルとなるケースがある。3次元による河川の全体像を発注時に提示しておけば、受注者側が事前に確認できる。

 河川と道路で異なる管理者間の情報共有にも役立てる。例えば道路と河川の境界付近で工事する場合、埋設物の照会などで多くの協議が必要になる。それぞれの管理者が持つ情報を集約して、図面のやり取りや協議の手間を減らす。荒川・デジタルツイン・オンラインでは、首都高速道路会社が管理する橋梁の3次元点群データを登録するなど、流域のインフラ管理者と連携している。

荒川下流域の段彩図。2019年度の測量成果(資料:国土交通省荒川下流河川事務所)
荒川下流域の段彩図。2019年度の測量成果(資料:国土交通省荒川下流河川事務所)
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荒川下流域の水深段彩図。2019年度の測量成果(資料:国土交通省荒川下流河川事務所)
荒川下流域の水深段彩図。2019年度の測量成果(資料:国土交通省荒川下流河川事務所)
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