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 環境省などは、環境影響評価(環境アセスメント)を義務付ける風力発電施設の規模要件を早ければ2021年10月に引き上げるのに伴い、環境への影響拡大を防ぐ対策を検討している。環境アセスを逃れるための意図的な施設分割を防止する施策を近く定める。

稼働中の風力発電施設の例(写真:日経クロステック)
稼働中の風力発電施設の例(写真:日経クロステック)
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 環境影響評価法に基づいて環境アセスを課すインフラ整備事業は、大規模な第1種事業と、それに次ぐ規模の第2種事業に分かれる。第1種は全ての事業で、第2種は個別判断で環境アセスを実施する。この他、より小規模な事業が自治体の条例に基づいてアセスの対象になる場合がある。風力発電施設の場合、現時点では発電出力1万kW以上が第1種、7500kW以上1万kW未満が第2種だ。

 政府は再生可能エネルギーの導入を促進するため、風力発電の第1種と第2種の規模要件引き上げを含む規制改革実施計画を21年6月に閣議決定した。

 風力発電施設は規模の大型化が進み、環境影響評価法に基づく環境アセスの対象となる割合が他のインフラと比べて突出して高い。そのため、内閣府が20年12月に開いた再生可能エネルギーの規制に関するタスクフォースの会合で、ヒアリングに応じるため出席した日本風力発電協会の斉藤長理事が、環境アセスの規模要件引き上げを訴えた。日本で風力発電の導入が遅れている大きな理由の1つとして、環境アセスの手続きの長さを挙げた。

 会合では、規制改革担当の河野太郎大臣が、規模要件引き上げの方針を20年度内に決めるよう環境省に指示。「それができるかどうか分からないというスピード感では、環境アセスの所轄官庁を替えざるを得ない」と強く迫る一幕もあった。

 環境省は21年10月に環境影響評価法の施行令を改正して、第1種を5万kW以上とする予定だ。第2種の規模要件は、3万7500kW以上5万kW未満とする方向で検討している。改正した施行令の施行時期は検討中で、「改正と同時に施行しない可能性もある」(環境省環境影響評価課の担当者)。

 規模要件の引き上げによって環境アセスの対象外となる風力発電施設でも、立地条件によっては周辺環境への影響が大きい場合がある。このような場合はアセスを柔軟に実施できるようにする施策を検討する。一方で、規模が大きくても周辺への影響が小さい施設では、アセスを簡素化して期間を短くできるようにする措置も視野に入れる。