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 洗掘による橋脚の傾斜で通行止めとなっている川島大橋(岐阜県各務原市)の復旧について、工事に高度な技術を要することから、橋を管理する岐阜県は国土交通省に代行を要望している。古田肇知事が2021年7月21日に同省を訪ね、渡辺猛之副大臣に要望書を提出した。県は現在、洗掘箇所の埋め戻しや橋脚の補修など、橋の倒壊を防ぐための緊急対策工事を進めている。

空から見た2021年7月20日時点の川島大橋と木曽川。岐阜県が傾斜したP4橋脚付近の旧河道を完全には埋め立てず、水流を残しているのは、川に生息する生物への配慮だという。岐阜県の写真に日経クロステックが加筆
空から見た2021年7月20日時点の川島大橋と木曽川。岐阜県が傾斜したP4橋脚付近の旧河道を完全には埋め立てず、水流を残しているのは、川に生息する生物への配慮だという。岐阜県の写真に日経クロステックが加筆
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 川島大橋は木曽川に架かる5径間鋼連続下路式トラス橋だ。1962年に建設された。2021年5月の大雨による増水で右岸寄りのP4橋脚付近の河床が洗掘され、基礎底面との間に70cmの隙間が発生。橋脚が不同沈下して上部構造が傾斜したため、県は5月28日から橋を通行止めにした。

傾きを元に戻すめど立たず

 県は7月21日、専門家などでつくる検討会(委員長:村上茂之・岐阜大学教授)の第3回会合を開き、緊急対策工事の進捗状況を報告した。

■コンクリートで空洞を埋めても支持地盤は戻らない
■コンクリートで空洞を埋めても支持地盤は戻らない
緊急対策工事でのP4橋脚の補修の概要。傾きの進行を止めることはできても、元に戻すめどは立っていない。橋脚の更新では現時点の支持地盤に届くよう、より深く埋め込む必要が生じる可能性がある(資料:岐阜県)
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 県はP4橋脚が立つ河道を埋め立て、左岸側に新たな河道を設ける瀬替え工事を実施。川底の洗掘箇所も土砂で埋め戻し、橋脚のケーソン基礎底面の下にコンクリートを充填する工事を進めていることを明らかにした。

 これらの工事を21年7月末までに終え、8月から上部構造の補強に着手した。しかし、「橋が倒壊しないよう傾きの進行を止めるのが精いっぱいで、元に戻すめどは立っていない」(道路維持課の山岸克則管理調整監)。

 国に代行を依頼する本復旧工事では、P4橋脚を撤去して造り直す計画だ。傾いた上部構造を補強後に再利用するか更新するかは未定。いずれにしても難工事が予想されるため、国の技術力に頼ることを決断した。上部構造の復旧を含むのかどうかなど、代行を要望する工事の具体的な範囲については現在、検討中だ。