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 大林組は、大型の杭(くい)打ち機が不要な着床式洋上風車の基礎「スカートサクション」を秋田県沖に1年間設置し、50年に1度の高波に見舞われても大きな変状が生じなかったことを確認した。同社は実用化のめどが立ったとみて、2020年代後半にも着床式洋上風力発電事業への導入を目指す。

秋田県沖に設置したスカートサクション(写真:大林組)
秋田県沖に設置したスカートサクション(写真:大林組)
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 スカートサクションとは、大林組が16年に開発した洋上風車の基礎形式だ。基礎は底版のない円筒形で、鉛直壁(スカート)を海底地盤に貫入して洋上風車を支える。水深40~50mの深い海底や14MW以上の大型の風車にも対応できる。着床式の他に浮体式もあり、まずは着床式での導入を想定している。

スカートサクションのイメージ(資料:大林組)
スカートサクションのイメージ(資料:大林組)
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 着床式では、「モノパイル」と呼ばれる大口径鋼管杭を打設する基礎形式が主流だ。ただ同方式では、海底から地下30~40m程度の深さまで打ち込む必要がある。それよりも浅いところに岩盤があると設置が困難になる。

着床式洋上風車の例(資料:大林組)
着床式洋上風車の例(資料:大林組)
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 また、モノパイルを設置する際には、大型の杭打ち機を用いるため、施工中に騒音や振動が発生する。さらに、発電事業の終了後などに撤去する場合、モノパイルを切断しなければならないため、一部が海中に残る。

 大林組はこれらの問題を解消するため、スカートサクションを開発した。設置に必要な深さは海底の地下10~15m程度で、岩盤の上部に堆積した砂地盤に固定できる。設置も撤去も基本的に、注水と排水だけで行える。