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 国土交通省東北地方整備局は、山形県内の消波工事で下請けの作業員が負ったけがを軽傷だと判断し、発注者に直ちに報告しなかったとして、元請けの林建設工業(同県酒田市)を2021年8月31日から1カ月の指名停止とした。地元の労働基準監督署や警察署は事故を問題視しなかったが、東北地整は同社の契約違反を重くみた。

国土交通省東北地方整備局の公表資料の一部(写真:日経クロステック)
国土交通省東北地方整備局の公表資料の一部(写真:日経クロステック)
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 問題があったのは、酒田港で消波ブロックを205個製作する「酒田港北港地区防波堤(北)(改良)消波工事」。東北地整酒田港湾事務所が発注し、林建設工業が1億4630万円で受注した。

 事故が起こったのは、21年7月1日午後1時過ぎ。2次下請けの30代の男性作業員がブロックの転置作業の終了後、ブロックを吊るサスペンダーの上部ワイヤをクレーンフックから外した際に、ワイヤが跳ねて作業員の顔面を直撃。前額部裂創のけがを負った。

 負傷した2次下請けの作業員はすぐさま、作業に立ち会っていた1次下請けの担当者とともに、工事現場で勤務していた林建設工業の安全管理部長に事情を説明。「医師に診てもらうように」との部長の指示を受け、1人で近くの病院に向かった。

 作業員は病院で傷口の縫合を受けた後、労働災害の保険請求書を院内の窓口に提出。現場に戻って、安全管理部長に報告した。作業員から連絡を受けた2次下請けの社長も同日中に、病院の診断結果などを部長に伝えた。作業員は休業せず、翌日以降も現場に出勤した。