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牛深ハイヤ大橋で支承が損傷したため、橋脚の上に据えたサンドルとジャッキで橋桁を支えている(写真左)(写真:熊本県)
牛深ハイヤ大橋で支承が損傷したため、橋脚の上に据えたサンドルとジャッキで橋桁を支えている(写真左)(写真:熊本県)
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 支承3基が壊れた牛深ハイヤ大橋(熊本県天草市)の施工者は、2020年9月に支承損壊が見つかった舞鶴クレインブリッジ(京都府舞鶴市)と同じ日立造船で、支承メーカーも同じ呉羽製鋼(兵庫県伊丹市)であることが日経クロステックの取材で分かった。日立造船は舞鶴の事故の後、呉羽製鋼の支承を使って施工した他の橋について、各管理者に事故を周知し、点検を促すなどの措置を講じていなかった。

 舞鶴では専門家による調査で、ローラーの製造過程で生じた内部の微細なひび割れが損壊の原因になった可能性が指摘されている。牛深ハイヤ大橋を管理する熊本県は、今回の事故発生まで舞鶴の事故を把握せず、この事故を踏まえた支承の点検などを実施していなかった。

 牛深ハイヤ大橋では21年8月27日、支承1基に損傷が見つかり、熊本県が同日、全面通行止めにした。応急対策を施し、歩行者と自転車の通行を再開したものの、車両の通行止め解除のめどは立っていない。県が9月7日、損傷の概要や発覚した経緯などを発表した。

牛深ハイヤ大橋の橋桁と橋脚。牛深港内に片仮名の「ノ」の字を描くように架けられている(写真:風景工房 増山晃太)
牛深ハイヤ大橋の橋桁と橋脚。牛深港内に片仮名の「ノ」の字を描くように架けられている(写真:風景工房 増山晃太)
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世界的建築家レンゾ・ピアノが設計

 牛深ハイヤ大橋はイタリア出身の世界的な建築家であるレンゾ・ピアノ氏らが設計したことで知られる。熊本県の発注で1997年に総工費122億円で完成した。橋長883mの7径間連続鋼床版曲線箱桁橋だ。天草市内の牛深港に臨港連絡橋として架かっている。上部構造は施工時に2つの工区に分かれ、日立造船と横河ブリッジがそれぞれの元請け会社として工事を担当した。

■北寄りに位置する3基の支承が損傷
■北寄りに位置する3基の支承が損傷
(資料:熊本県)
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 橋桁と橋脚をつなぐ支承は16基で、いずれもピボットローラー支承だ。2021年9月7日までに、そのうち日立造船が担当した工区にある3基に、ローラーの破断などの損傷が発覚した。県は最初に見つかった1基に、桁をサンドル(仮支柱)とジャッキで支える応急措置を施した。残りの2基にも同様の措置を施す。目視調査で異常がなかったその他の13基についても今後、より詳細な点検を実施する。