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 東京都が発注した橋梁工事を巡り、積算ミスで入札の予定価格が約680万円過大となり、4番目に低い価格を提示した会社と契約していたことが分かった。本来の予定価格であれば、別の会社が落札した可能性があった。都は契約金額を減額し、工事を進める考えだ。2021年9月9日に公表した。

積算ミスが発覚した「等々力大橋(仮称)下部工事(その2)」の入札結果(資料:東京都)
積算ミスが発覚した「等々力大橋(仮称)下部工事(その2)」の入札結果(資料:東京都)
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 問題があったのは、神奈川県境の多摩川に架ける等々力大橋(仮称)の下部工事だ。高水敷を掘削しながらコンクリート製の躯体を沈下させるニューマチックケーソン工法を基礎に用いて、橋脚1基を建設する。同工法の施工実績を持つ建設会社が限られるため、都は入札に指名競争を採用。「潜かん」の工種に登録している10社を指名した。

 21年7月29日に実施した入札で、指名された10社のうち4社が辞退し、6社が札を入れた。都はこのうち、4番目に価格の低い6億3484万円(税抜き)を提示した日本国土開発を落札者に決定。翌7月30日に同社と契約した。

 入札に参加した東洋建設、清水建設、オリエンタル白石の3社は、日本国土開発よりも低い価格を提示したものの、いずれも低入札価格調査の基準価格(6億3462万9370円、税抜き)を下回った。

 調査対象となった3社うち、東洋建設とオリエンタル白石は、調査票などを都に提出しなかった。清水建設は、過去3年間に都から受注した工事で65点未満の成績評定を受けた案件があり、低入札価格調査の工事成績失格基準に該当した。そのため、都は3社を落札の対象から外した。

 日本国土開発との契約から半月余り後の8月19日、入札参加者から都に「積算単価の一部に誤りがあるのではないか」との問い合わせがあった。都が設計内容を精査したところ、翌20日に積算ミスが判明した。

 ミスがあったのは、工事で4台使用する天井走行式ショベルの損料単価の設定だ。有人施工型の一般タイプを用いなければならなかったが、誤って遠隔操作型の無人タイプで算定した。その結果、工事の予定価格が過大となった。

 本来の予定価格と連動して、低入札価格調査の基準価格も低下する。そのため、調査の対象となった会社が落札者となる可能性があった。しかし、都は工事の遅れを避けるため、入札をやり直さず、このまま進める方針だ。

 今回の件で入札をやり直すと、21年11月にも予定している現場での作業開始の時期が遅れ、翌年の出水期に現場作業がずれ込む恐れがある。これを避けるには、スケジュールを1年延期する必要がある。

 都は積算ミス発覚後、21年8月下旬から9月初旬にかけて、入札を辞退した4社を含む指名先10社全てに事情を説明。受注者の日本国土開発には契約金額の減額を、残り9社には入札・契約の有効性と工事継続への理解を求め、各社の了承を得た。

 都は予定価格を事後公表としているため、予定価格の誤りが各社の入札額に影響を与えることはない。入札額が過大とはいえないのだから、本来なら、都が日本国土開発に契約金額の減額を求めるのは筋が通らない。それでも、日本国土開発は都の要請に応じ、減額を認めたという。

 予定価格が正しければ落札できた可能性のあった会社にとっても、都の積算ミスにはやりきれない思いがあるだろう。しかも、それが都職員の「単純ミス」に起因しているとなれば、なおさらだ。