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宝町調節池の地上施設と原告の経営する金属加工工場(写真左端)。調節池を取り巻くように工場や倉庫が立地している。個人情報保護のため写真の一部を加工(写真:日経クロステック)
宝町調節池の地上施設と原告の経営する金属加工工場(写真左端)。調節池を取り巻くように工場や倉庫が立地している。個人情報保護のため写真の一部を加工(写真:日経クロステック)
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 大阪府発注の地下調節池工事の影響で不同沈下が生じたとして、隣接する工場の経営者が損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁は2021年9月9日、府に約1800万円の支払いを命じた。施工者の銭高組・アイサワ工業JVには賠償責任を認めなかった。府は9月10日に控訴した。

■原告の工場は調節池の南側に隣接する
■原告の工場は調節池の南側に隣接する
黄色い線で示したのが原告の経営する工場の位置。大阪府の資料に日経クロステックが加筆
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 問題となったのは、07年に東大阪市内に完成した南北84m、東西38m、深さ25mの宝町調節池だ。日産技術コンサルタント(大阪市)が地盤沈下を想定したうえで設計。銭高組JVが02年から5年半ほどかけて施工した。

 調節池の南側に隣接する金属加工工場で、工事期間中の不同沈下によって内壁にひび割れが生じるなどの被害が発生。さらに、屋内に設置したクレーンが正常に作動しなくなった。工場の北端と調節池の南端との距離は約14m。工場経営者は、調節池工事が原因だとして11年8月、府と銭高組JVを相手取り約6920万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に提起した。

 工場経営者は、府が発注者として工事に伴う地盤沈下の観測や対策を怠ったと主張した。銭高組JVに対しては、調節池の土留め壁の工法をSMW(ソイルセメント柱列壁)からCRM(掘削土再利用連続壁)に変更したことを問題視。変更しなければ不同沈下を回避できたと訴えた。さらに、工事中の沈下状況の観測でも過失があったと見なした。