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 鹿島と日本コンクリート工業は、二酸化炭素(CO2)を大幅に吸収・削減するコンクリートの製造技術を共同で開発する。養生時にCO2を固定化するコンクリート「CO2-SUICOM(スイコム)」と、コンクリート二次製品の製造時に生じる廃水に工場の排ガス中のCO2を反応させて作る混和材「エコタンカル」を組み合わせる。

 エコタンカルは、炭酸カルシウムを主成分とする粉末だ。日本コンクリート工業と東京大学が2008年に共同で開発し、CCU(CO2貯留・回収)骨材として日本で唯一実用化している。粒度が約30~40μmと細かく、生コンクリート1m3につき50~100kgを混ぜると流動性や不分離性、強度を高められる。一般的な混和材として現場で使える。

日本コンクリート工業などが開発した「エコタンカル」と「パデックス」。いずれもコンクリート二次製品の製造時に生じる廃水が原料となる(写真:日経クロステック)
日本コンクリート工業などが開発した「エコタンカル」と「パデックス」。いずれもコンクリート二次製品の製造時に生じる廃水が原料となる(写真:日経クロステック)
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 製造方法は次の通りだ。まず、コンクリート杭などを遠心成型した際に発生する高アルカリの「スラッジ」を貯留する。次に、スラッジを希釈してフィルタープレスと呼ぶ方法で固体と液体に分離。その液体にCO2濃度が10%ほどの排ガスを吹き込むと、「炭酸塩鉱物化」という反応が生じてエコタンカルが生成される。

 排ガスは、コンクリート杭などを蒸気養生するためのボイラーから発生するものを使う。一連の作業は全て常温・常圧の状態で実施し、薬品は使わない。

 エコタンカルは100kg当たり44kgのCO2を含む。原料が廃水と排ガスなので、価格は20kg当たり960円と破格の安さだ。ただし、これまでの生産量は年間20tと少なかった。

 一方、スラッジの固体部分からは「PAdeCS(パデックス)」という多孔質の粉末を生成できる。土壌に含まれるヒ素などの重金属の吸着や、畜産資材として脱臭・消毒に用いる。

エコタンカルおよびパデックスの製造フロー。日本コンクリート工業によると、コンクリート二次製品工場から発生するスラッジは1年間でおよそ20万tに上る。年間300万tほどが発生する残コンや戻りコンから生じるスラッジにも適用できる(資料:日本コンクリート工業)
エコタンカルおよびパデックスの製造フロー。日本コンクリート工業によると、コンクリート二次製品工場から発生するスラッジは1年間でおよそ20万tに上る。年間300万tほどが発生する残コンや戻りコンから生じるスラッジにも適用できる(資料:日本コンクリート工業)
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