国土交通省は、豪雨被害が頻発している鉄道河川橋梁の点検手法を抜本的に改める。構造物に異常がないかどうかを確認する事後保全型から、将来の被災リスクも見据えた予防保全型に転換する。
2021年9月28日に、JR6社の社長を集めて会合を開催。鉄道河川橋梁の被災状況を示したうえで、各社が管理する全国の約5000橋を対象に、予防保全の観点に基づいて総点検をするよう要請した。
国交省によると、1934年から2019年までに被災した鉄道河川橋梁のうち、構造諸元などが分かる154橋を分析したところ、約9割が戦前(1945年以前)に建設されたものだった。被災した橋梁では、約6割で基礎周りに洗掘が発生。洗掘が生じた橋梁の約8割が直接基礎方形式を採用していた。
JR6社が管理する約5000橋のうち、半数以上が戦前に建設され、その多くが直接基礎形式とみられる。そのため、国交省は洗掘対策が急務と判断。同省鉄道局が監修し、鉄道総合技術研究所が2021年6月にまとめた「鉄道河川橋梁における基礎・抗土圧構造物の維持管理の手引き」に基づいて総点検し、緊急性の高い橋梁では22年の出水期までに根固めなどの対策を進めるよう、各社に求めた。