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 和歌山市の紀の川に架かる「六十谷(むそた)水管橋」が崩落した問題で、市が橋の構造部材に対して、道路橋で義務付けられているような「近接目視」を実施していなかったことが分かった。腐食の進行や破断が見落とされ、橋の崩落につながった可能性がある。

 崩落したのはランガー補剛形式の7径間連続アーチ橋だ。和歌山市は2021年10月6日に専門家らと現地を調査。ドローンで上空から水管橋を撮影した。崩落箇所の北側に隣接する径間では、桁を兼ねる送水管とアーチを結ぶ18本のつり材のうち、4本に腐食や破断が見つかった。

六十谷水管橋(写真手前)で崩落箇所の北側に隣接する径間で見つかったつり材の破断。奥に見えるのは、並行して架かる道路橋(写真:和歌山市)
六十谷水管橋(写真手前)で崩落箇所の北側に隣接する径間で見つかったつり材の破断。奥に見えるのは、並行して架かる道路橋(写真:和歌山市)
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 つり材は直径約14cm、厚さ4.5mmの鋼管だ。つり材とアーチを斜めにつなぐ線材との接合部の上下などで、破断が確認された。送水管から破断箇所までの高さは約3.5mある。尾花正啓市長は10月6日に開いた調査結果の説明会で、「つり材と線材の接合部など突起がある場所は鳥のふんや雨水、潮風の塩分などがたまり、腐食が進みやすいようだ」と説明した。

六十谷水管橋で崩落箇所の北側に隣接する径間で見つかったつり材の破断。つり材と斜めの線材をつなぐ接合部の上下で腐食が進行している(写真:和歌山市)
六十谷水管橋で崩落箇所の北側に隣接する径間で見つかったつり材の破断。つり材と斜めの線材をつなぐ接合部の上下で腐食が進行している(写真:和歌山市)
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 これらの破損がいつ生じたのかは分かっていない。市は落橋の原因も不明としている。一方で、20年12月に撮影されたグーグルマップのストリートビューでは、崩落した径間のつり材でも既に複数の箇所が破断しているように見える。つり材の破断が進み、送水管を支えられなくなって崩落に至ったと考えられる。