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 老朽化した水道管をPFI(民間資金を活用した社会資本整備)で更新する大阪市の全国初の事業が、開始半年前に頓挫した。公募に応じた2つの企業グループが採算の問題などで辞退したためだ。市は計画を白紙に戻し、事業を一から見直す。

 松井一郎市長は2021年10月1日の会見で、「担当部局に対して、事業費は水道料金に跳ね返るので、できるだけ抑えなさいよと。事業者がゆるくもうけられるようなのは絶対あかんぞと言い続けた。厳し過ぎたんかな」と振り返った。

大阪市が計画したPFIによる水道管更新事業の概要(資料:大阪市)
大阪市が計画したPFIによる水道管更新事業の概要(資料:大阪市)
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 市が水道事業を開始したのは1895年。配水管の延長は約5100kmに及び、うち40年の法定耐用年数を超える老朽管の割合は政令市で最悪の約5割に上る。近い将来、南海トラフ地震の発生が予想される中、管路の更新と耐震化が喫緊の課題となっている。

 市は、管路の更新ペースを引き上げるため、公共調達ルールに縛られない民間に事業を委ねるPFIの導入を決定。民間事業者が、2022年度からの16年間で延長1800km以上の配水管を更新し、37年度末に老朽管率を34%以下に引き下げる事業スキームを立案した。

 20年4月に実施方針を公表し、10月に公募を開始。受付期限の12月までに応募した2グループと数回にわたって意見交換をした。しかし、事業提案書の提出期限を約2カ月後に控えた21年9月上旬、両グループから辞退の申し出を受けた。

 市は公募に際し、16年間の事業費総額の上限を3750億円と設定。応募者には、この上限額を下回る事業提案を求めた。しかし2グループは、「掘ってみなければ分からない」という施工リスクを抱える中、市の提示した金額では事業を遂行できないと判断したようだ。松井市長は21年10月1日の会見で、次のように語った。

 「事業者が見積もりをしたら、何千億円と大きな金額になる。でも、人件費や材料費を考えれば、本当に採算ぎりぎり。地中から何かが出てくれば、その対策費が非常にかかる。もし赤字が出た場合も(金額が)大きいという中で、二の足を踏むことになったのだろう」

大口径配水管の更新の様子(写真:大阪市)
大口径配水管の更新の様子(写真:大阪市)
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