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 バンテリンなど医薬品の事業を手掛ける興和(名古屋市)が、土木・建築の補修事業へ力を入れている。同社は劣化したコンクリート構造物に適用可能な、セメントを使わない常温硬化型ジオポリマー系補修材の販売を2021年10月に始めた。今後、欧州で補修材を製造することも視野に入れている。

興和が販売する常温硬化型ジオポリマー系補修材「GP MONDO K」をコンクリートの表面に塗っている様子(写真:興和)
興和が販売する常温硬化型ジオポリマー系補修材「GP MONDO K」をコンクリートの表面に塗っている様子(写真:興和)
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 ジオポリマーとは、セメントを使わないでコンクリートのように硬化する材料だ。石炭火力発電所から出るフライアッシュや製鉄所から出る高炉スラグ微粉末などに、水ガラスやカセイソーダから成る特殊アルカリ溶液を混ぜて作る。製造時に多くの二酸化炭素を排出するセメントを使用しないので、低炭素社会の実現に貢献できる材料として注目を集めている。

 ジオポリマーはこれまで、コンクリート2次製品や現場での打設など、新設構造物で普及が進んでいた。一方、興和の販売するジオポリマーは補修材としての用途を狙う。「環境にやさしい補修材は珍しいのではないか。特に耐酸性に優れるため、まずは酸性環境下の温泉地にあるコンクリート構造物の補修などで、実績を上げたい」。興和産業資材部営業課の木下大輔チーフはこう話す。

 温泉地などにあるコンクリート構造物は、温泉水に含まれる硫酸イオンや塩化物イオンの影響を受けやすい。コンクリートに含まれるカルシウム成分が反応して侵食する。水路や温浴施設の床目地などを補修してもすぐに劣化するため、酸に強い補修材が望まれていた。

 ジオポリマーはカルシウム成分が少ないので、酸に対する抵抗性は高い。「温泉地は塩酸や硫酸の複合作用でコンクリートが劣化しているようだ。酸性環境下で一般的に使われる補修材の耐硫酸モルタルよりもジオポリマー系補修材が効いているという実験結果もある」(木下チーフ)

温浴施設の石張りの目地に、ジオポリマー系補修材を施工した(写真:興和)
温浴施設の石張りの目地に、ジオポリマー系補修材を施工した(写真:興和)
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