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 国土交通省九州地方整備局の職員が2021年9月に加重収賄罪で起訴された事件は、外部の監視が届きにくい「たこつぼ化」した職場で起こった。

 事件の舞台となった出先事務所では、「専門性」を理由に発注業務を職員任せにし、業務完了後の検査も事実上行っていなかった。再発防止対策を議論している有識者委員会では、「不正が起こる典型的な例」と指摘している。

 九州地整では、07年から11年にかけて発注業務を巡る収賄事件が3件発生した。研修・講習会の開催や入札手続きの見直し、内部通報窓口の拡充など、コンプライアンス(法令順守)の取り組みを進めてきたが、今回の事件を防げなかった。

国土交通省九州地方整備局の過去の収賄事件。同地整の資料を基に日経クロステックが作成
国土交通省九州地方整備局の過去の収賄事件。同地整の資料を基に日経クロステックが作成
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 起訴された職員は、下関港湾空港技術調査事務所に所属する男性係長(47歳)。15年4月から21年3月まで在籍していた関門航路事務所で、海洋環境整備船「がんりゅう」に搭載されているクレーンの修理業務の発注を巡り、特定の企業が受注できるよう便宜を図った見返りに電化製品を複数回にわたって受け取ったとされる。

海洋環境整備船「がんりゅう」。関門海峡を挟む東西約3500km2の海域に浮遊するごみや流木などを回収する他、油流出事故の発生時に海上保安庁の要請に基づいて油を回収する。2017年7月の九州北部豪雨の際には、山林などから流出した流木やごみなどの浮遊物約1090m3を他の2隻とともに回収した(写真:国土交通省九州地方整備局)
海洋環境整備船「がんりゅう」。関門海峡を挟む東西約3500km2の海域に浮遊するごみや流木などを回収する他、油流出事故の発生時に海上保安庁の要請に基づいて油を回収する。2017年7月の九州北部豪雨の際には、山林などから流出した流木やごみなどの浮遊物約1090m3を他の2隻とともに回収した(写真:国土交通省九州地方整備局)
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 係長は21年8月22日、福岡県警に収賄容疑で逮捕され、9月10日に福岡地検小倉支部によって刑罰がより重い加重収賄罪で起訴された。係長は、自ら指定した電化製品を持ってくるよう、相手方企業に要求したとみられる。

 九州地整は事件発覚後、有識者による再発防止対策検討委員会を設置。9月3日に初会合を開き、船舶修理の契約手続きや人員配置の仕組みなどを説明した。10月6日の第2回会合では、関門航路事務所におけるそれらの実態を明らかにした。

 九州地整によると、船舶修理の予定価格が100万円以下の場合、少額随意契約で業務を発注する。係長はこの制度を利用。相手方企業に便宜を図るため、予定価格が少額随意契約の範囲内に収まるよう業務を複数回に分けて発注したとされる。

船舶修理などに関する契約業務の概要(資料:国土交通省九州地方整備局)
船舶修理などに関する契約業務の概要(資料:国土交通省九州地方整備局)
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