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 国土交通省は、災害復旧の妨げとなるヒトとカネの問題の解消に乗り出した。東日本大震災の復旧工事に限定している復興JV制度を全国に拡大する他、災害復旧工事の期間中に不可抗力で損害が発生した場合の受注者の費用負担を軽減する。2021年10月15日に開いた中央建設業審議会の総会で制度改正の方向性を示した。

被災した河川堤防の応急復旧の様子(写真:国土交通省)
被災した河川堤防の応急復旧の様子(写真:国土交通省)
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 震災では、岩手、宮城、福島の被災3県で同時に大量の復旧需要が発生。地元企業だけでは対応が困難なため、地域外の企業の活用が必要となった。そこで国交省は、地元企業と地域外の企業がJVを組んで復旧工事を受注する復興JV制度を創設。震災翌年の12年に、被災地に限った試行として導入した。適用工事はこれまでに約690件を数える。

東日本大震災の被災地に導入した復興JV制度の全国への拡大を図る(資料:国土交通省)
東日本大震災の被災地に導入した復興JV制度の全国への拡大を図る(資料:国土交通省)
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 国内では震災後も、熊本地震(16年)や九州北部豪雨(17年)、西日本豪雨(18年)、北海道胆振東部地震(同)、東日本台風(19年)など、各地で大規模災害が発生。被害を受けた熊本、愛媛、長野の3県や北海道では、独自の復興JV制度を導入する動きが相次いだ。

 他県でも復興JVを前向きに捉えている。「東日本台風では技術者と技能者が不足し、地域によっては入札の不調・不落が多発した。大規模災害時には状況に応じて復興JVの活用を検討したい」「南海トラフ地震は地元企業だけでは対応が困難となると想定される。災害の規模により復興JVを活用したい」といった声が上がっている。

独自の復興JV制度を創設した自治体(資料:国土交通省)
独自の復興JV制度を創設した自治体(資料:国土交通省)
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 国交省はこうした状況を踏まえ、発注者が準拠すべきJV活用の基本方針を定めたJV準則の改正を提案。(1)大規模で技術的な難度の高い工事を対象とする特定JV(2)中小・中堅企業の経営力・施工力の強化を図る経常JV(3)維持管理事業の担い手の確保を目的とした地域維持型JV――の3つに続く新たな類型として、復興JVを準則に位置付ける。

 復興JVの対象工事は、東日本大震災クラスに限定せず、一定規模以上の大規模災害を想定。地元企業をJVの代表とすれば、他の構成員の地域要件は設けない。発注者の判断で、地域の内外の企業がJVに参加できるようにする。活用時期も発注者の判断に委ねる。JV準則の改正に伴い、公共工事入札契約適正化法(入契法)の適正化指針も変更する。