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 市町村の6割以上が豪雨の際に避難情報の発令が難しいと感じていることが、内閣府の調査で分かった。災害が起こらずに空振りになる懸念を抱えている市町村も6割を超えた。

 避難情報は、国や都道府県が発表する防災気象情報に対応して、市町村が5段階の警戒レベルで発令する。従来のレベル4に当たる「避難勧告」と「避難指示(緊急)」の違いが分かりにくいとの批判を受け、国は21年5月に災害対策基本法を改正。避難勧告を廃止して、避難指示に一本化した。改正法では、市町村がレベル4の避難指示を発令した場合には、対象区域の住民が必ず避難するよう促している。

2021年5月の災害対策基本法で改正された避難情報。従来の避難情報(右)の警戒レベル4に当たる「避難勧告」を廃止して、「避難指示」に一本化。レベル5の「災害発生情報」を「緊急安全確保」に、レベル3の「避難準備・高齢者等避難開始」を「高齢者等避難」に、それぞれ名称変更した(資料:内閣府)
2021年5月の災害対策基本法で改正された避難情報。従来の避難情報(右)の警戒レベル4に当たる「避難勧告」を廃止して、「避難指示」に一本化。レベル5の「災害発生情報」を「緊急安全確保」に、レベル3の「避難準備・高齢者等避難開始」を「高齢者等避難」に、それぞれ名称変更した(資料:内閣府)
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 しかし、静岡県熱海市で21年7月に発生した土石流災害では、気象庁などが土砂災害警戒情報を発表した後も、市が避難指示を発令しなかった。国の避難情報に関するガイドラインでは、「土砂災害警戒情報の発表をもって、直ちに警戒レベル4避難指示を発令することを基本とする」と記している。

 内閣府は、市町村が避難指示などの発令を躊躇(ちゅうちょ)している可能性があるとみて、対応策を議論する有識者検討会を設置。21年11月2日に初会合を開いた。会合では、市長会や町村会に属する123市町村を対象に10月上旬に実施したアンケートの結果を公表。その内容を踏まえ、対応策を検討する方針を確認した。

 アンケートでは避難情報発令の悩みを複数選択方式で質問。「土砂災害の危険度分布や河川の水位などが刻々と移り変わるため、発令の判断が難しい」との回答が最も多く、全体の66%を占めた。次いで、「避難情報を発令しても、災害が起きず空振りになり、かえって避難指示の効力が薄れる不安がある」(63%)、「避難情報をどのような範囲で発令するか判断が難しい」(57%)の順で回答が多かった。

市町村アンケートの結果。123市町村が複数選択方式で回答した(資料:内閣府)
市町村アンケートの結果。123市町村が複数選択方式で回答した(資料:内閣府)
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