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 大成建設は、下水からメタンを効率的に生成する脱炭素型の下水処理技術を開発した。現在、国内の下水処理場の多くで導入している活性汚泥法と比べて、水処理にかかる消費エネルギーを約30%、処理に伴い発生する余剰汚泥量を約70%、それぞれ削減できる。

脱炭素型の下水処理技術の概念図。「嫌気MBR」を用いる。酸素を使わず下水からメタンを生成し、電気や熱に変換する(資料:大成建設)
脱炭素型の下水処理技術の概念図。「嫌気MBR」を用いる。酸素を使わず下水からメタンを生成し、電気や熱に変換する(資料:大成建設)
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 活性汚泥法は好気処理といって、酸素のある条件下で増殖する微生物が下水中の有機物を水と二酸化炭素に分解するものだ。短時間で法的な排水基準を満たす良好な水質を得られる。しかし、処理槽に酸素を送り込むポンプを動かすために多くの電力が必要で、その量は下水処理に費やす総消費エネルギーの約半分を占める。余剰汚泥が大量に発生することも課題だった。

 一方、開発した処理技術では、「嫌気MBR」を採用する。酸素のない条件下でも働く微生物がバイオガスを発生させる嫌気処理と、膜を用いて水と固形分を分離する技術を組み合わせた。下水処理槽への酸素の供給が不要なため、消費電力を抑えられる。余剰汚泥を減らせるのも利点だ。

 嫌気MBRによる処理の初期過程で、メタン約80%、二酸化炭素約20%から成るバイオガスが得られる。これを処理槽内で循環させて対流を発生。微生物と下水に含まれる有機物とが効率的に接触し、メタンを安定的に生成できるようにする。

バイオガスを処理槽の中で循環させることで、メタンを安定的に生成できる(資料:大成建設)
バイオガスを処理槽の中で循環させることで、メタンを安定的に生成できる(資料:大成建設)
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 さらに効果を高めるために、微生物の有機物分解能力を促進する鉱物を添加する。有機物の分解が活性化して、メタンの生成量が最大20%増加する。

鉱物を処理槽に添加すると微生物の有機分解能力が高まり、メタンの生成量が増加する(資料:大成建設)
鉱物を処理槽に添加すると微生物の有機分解能力が高まり、メタンの生成量が増加する(資料:大成建設)
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