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 必要な災害防止措置を確認できなかった盛り土が全国に657カ所あることが、都道府県の実施した盛り土総点検の暫定結果で明らかになった。政府が2021年12月20日に開いた有識者検討会で報告した。検討会は暫定結果を踏まえ、新たな法整備を提案。政府は22年の通常国会で関連法の改正案を提出する方針だ。

「危険な盛り土」の例。盛り土の土量は約2万m3。自治体の条例の許可を受けずに造成された。自治体は2011年ごろに問題を把握。不適切な盛り土をした行為者に是正を命じたが、応じなかったため、19年に条例違反で刑事告発。行為者の刑は確定したが、いまだに災害防止措置は取られていない(写真:内閣府)
「危険な盛り土」の例。盛り土の土量は約2万m3。自治体の条例の許可を受けずに造成された。自治体は2011年ごろに問題を把握。不適切な盛り土をした行為者に是正を命じたが、応じなかったため、19年に条例違反で刑事告発。行為者の刑は確定したが、いまだに災害防止措置は取られていない(写真:内閣府)
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 盛り土の総点検は、21年7月に静岡県熱海市で発生した土石流を受けて、政府が8月に都道府県に要請した。対象は、土砂災害警戒区域などにある3万6226カ所。都道府県は11月末までに、その約8割に当たる2万8152カ所で目視などによる点検を終えた。大半の都道府県は22年3月末までに対象箇所の点検を完了する見通しだ。

 政府が公表したのは総点検の暫定結果。必要な災害防止措置を確認できなかった657カ所の他、743カ所で許可・届け出などの手続きを経ておらず、660カ所で法令手続きの内容と現地の状況が異なっていた。廃棄物の投棄などが確認された盛り土も137カ所あった。重複分を除くと、1375カ所でいずれかの問題が見つかった。

都道府県の盛り土総点検の暫定結果。2021年11月末時点(資料:内閣府)
都道府県の盛り土総点検の暫定結果。2021年11月末時点(資料:内閣府)
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 有識者検討会では、総点検の暫定結果を踏まえ、盛り土による災害の防止に向けた提言案を作成。総点検で必要な災害防止措置を確認できなかった盛り土のうち、人家などに被害を及ぼす恐れのある箇所では速やかに応急対策を取ることが重要だと指摘。詳細調査が必要とされた箇所では、直ちにボーリングなどを実施して、安全対策を優先的に講じる「災害危険性の高い盛り土」を特定するよう求めた。

 提言案では、総点検で法令上の手続きが適切に取られていないと判明した盛り土に対して、自治体が撤去など是正措置を指示。相手が応じない場合は、自治体が法令に基づく行政指導や行政処分をためらわずに行う。

 災害危険性の高い盛り土で、相手が行政処分などに従わない場合は、自治体が代わって安全対策を実施する。危険箇所の対策は、自治体による行政代執行を基本とし、国はそれを支援する。

 法令の規制の対象とならない既存の盛り土についても、人家などに危害が及ぶ恐れが大きい場合は、自治体が是正命令や行政代執行を行えるよう法制度を整備。全国一律のルールを設けるなど、盛り土に関する新たな法制度を創設する。