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 国土交通省は2022年4月以降に契約する案件から、直轄工事や建設コンサルタント業務の総合評価落札方式の入札で、賃金引き上げを表明した参加企業に加点する。岸田政権の方針を受けて財務省が21年12月17日に各省庁に送った通知に基づく施策だ。賃上げをほごにした企業に対するペナルティーも含む。

■閣議決定に基づくことを明記した通知
■閣議決定に基づくことを明記した通知
財務省の庁舎と通知の文面の一部(写真:日経クロステック、資料:財務省)
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 岸田政権は21年11月19日に閣議決定した経済対策などで、分配を重視する考えから企業の賃上げの促進を掲げた。その促進策の1つとして、公共工事を含む政府調達の対象企業の選定で、賃上げをする企業を優先する方針を盛り込んでいた。

 財務省はこの方針を踏まえ、賞与などを含む年間給与を所定の割合以上引き上げる計画を表明した企業を対象に、22年4月以降に契約する案件から総合評価入札で加点するよう各省庁に通知した。法人税法に基づき資本金が1億円以下の中小企業に当たる場合は総額で前年度比(前年比)1.5%、1億円を超える大企業の場合は1人当たりの平均で同3%を上げ幅の基準としている。

 評価の対象時期として、(1)落札した工事の契約を結ぶ年の4月以降に始まる最初の事業年度(2)契約する年(暦年)――のいずれかを入札参加者が選ぶ。対象時期の年間給与を所定の割合以上引き上げる旨を従業員に表明していれば、総合評価で加点を受けられる。

 例えば、3月決算の大企業が22年内に契約する入札で(1)を選んだ場合、22年度の従業員1人当たりの年間給与を21年度よりも3%以上増やすと表明する必要がある。