C滑走路の地下に2本の横断道路
B滑走路の延伸に伴って拡張する敷地は、東関東自動車道と交差する。そのため、東関道を延長約430mにわたってトンネルに変更し、その上に延伸部を通す。敷地を横切る市道は廃止して、付け替え・補償道路(延長計約1.4km)を整備する。
東関道のトンネル化に向け、22年秋ごろに切り回し工事に着手。切り土(約15万m3)と盛り土(約6万m3)を行う他、既存のプレストレストコンクリート(PC)単純箱桁橋とPC斜材付きπ型ラーメン橋を撤去し、新たに橋(延長約50m)を1本架ける。24年春ごろに仮設道路(延長約1.2km)の供用を開始。その後、トンネル工事を始める。
一方、新設するC滑走路は23年度に、空港内の雨水を付近の川に放流する排水設備工事に着手。完了後に、用地造成(切り土約1900万m3、盛り土約1600万m3)や地盤改良(約54万m2)、排水施設(開きょ約17km、暗きょ約11km)の整備に取り掛かる。4カ所に調整池(計約130万m3)も造る。
C滑走路は現況の地形を生かし、標高20~33mで縦断勾配を持つように整備。周囲に緑化区域を設ける。空港の敷地内を通る町道や国道は廃止して、東西方向と南北方向をつなぐ付け替え・補償道路を造る。それらの道路延長は計約12kmに及ぶ。
付け替え・補償道路の代表例は、滑走路横断道路(仮称)だ。敷地の東側に建設される首都圏中央連絡自動車道(圏央道)のインターチェンジ(IC)と、西側を通る既存の県道などを地下道(延長約580m)で結ぶ。敷地の南側を横断する国道296号は、ルートを変更して地下道(同約400m)にする。それらの上に滑走路を造る。
国交省は、21年12月24日に閣議決定した22年度予算案で、NAAへの無利子貸し付けとして154億円を計上。成田空港の滑走路整備の具体化に伴い、同社への無利子貸付金額を前年度(50億円)の3倍に増やした。