和歌山市の水管橋崩落事故を受けて厚生労働省が実施した全国調査で、形式が同じ水管橋の2割で定期点検を実施していないことが分かった。代替管路のない水管橋は4割に上る。同省が2021年12月24日に調査結果を公表した。
紀の川に架かる「六十谷(むそた)水管橋」が21年10月3日に崩落し、川の北側にある市内約6万2000世帯が1週間ほど断水に見舞われた。桁を兼ねる送水管とアーチを結ぶ吊り材の破断が原因との見方が有力だ。橋に代替管路がなかったことや、既に生じていた破断を点検時に見落とした可能性があることなどが問題視された。
厚労省は21年10月から12月にかけて、全国の上水道事業者などが管理する橋の数や種類、点検状況などを調査。崩落した水管橋と同様にアーチなどを使って管路の剛性を補う「補剛形式」の橋は、全国に3481カ所あった。
そのうち定期点検を実施していない橋は19%の646カ所。定期点検を実施していても、吊り材などの補剛部材をチェックしていない橋は907カ所(26%)に上った。