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 政府は、所有者が分からず放置されている土地に、防災用資材の備蓄倉庫や再生可能エネルギーの発電設備などを建設できる仕組みを設ける。これまで災害時の避難用広場などの整備を促してきたが、土地の活用が進まないため用途を拡大する。2022年1月17日に召集予定の通常国会で、所有者不明土地法の改正案を提出する。

管理不全状態の所有者不明土地が周辺に悪影響を与えている例。1993年に火災が発生した後、燃え残ったがれきが放置されている(写真:国土交通省)
管理不全状態の所有者不明土地が周辺に悪影響を与えている例。1993年に火災が発生した後、燃え残ったがれきが放置されている(写真:国土交通省)
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 公共事業では、所有者が分からず用地取得が進まないケースが少なくない。国の直轄事業では、着手後3年以上たっても執行が困難な事業の割合が、06年度の12.2%から19年度に17.2%に増えている。11年3月に発生した東日本大震災では、所有者不明土地の影響で復旧や復興に手間取る事態も生じた。

 国土計画協会の所有者不明土地問題研究会が17年12月にまとめた報告書によると、16年時点で九州本島(土地面積約367万ha)を超える約410万haだった所有者不明土地の総面積は、40年に北海道本島(同約780万ha)に迫る約720万haに拡大する見通しだ。土地の管理に要するコストなどを踏まえると、単年当たりの経済的損失は16年時点の約1800億円から40年には約3100億円に増加する。

 政府は18年6月に所有者不明土地法を公布。19年6月に全面施行した。同法では、所有者不明土地の活用を促すため、地域住民の福祉や利便性向上に役立つ地域福利増進事業を、都道府県知事の裁定で最長10年間にわたって行えるようにした。

 同事業を所管する国土交通省は、所有者不明土地法の施行後3年目の見直しに向け、20年10月に国土審議会土地政策分科会企画部会で検討に着手。21年6月の関係閣僚会議の基本方針決定を受け、「所有者不明土地の円滑な利活用・管理を図る仕組みの拡充」などの議論を進め、12月24日に見直しの方向性をまとめた報告書を公表した。