政府が将来の主力電源と位置付ける洋上風力発電が早くも価格競争の様相を呈してきた。経済産業省と国土交通省が公募した3つのプロジェクトで、両省が示した売電価格の上限よりも大幅に安い金額を提示した三菱商事系コンソーシアム(企業連合)が事業者に決まった。「低過ぎる」といわれた上限額を4~6割ほど下回った。他の応募者も安値で対抗したが、三菱商事系の「価格破壊」に及ばなかった。
両省が事業者を公募したのは、「秋田県能代市、三種町及び男鹿市沖」「秋田県由利本荘市沖」「千葉県銚子市沖」の3カ所の一般海域を対象とした洋上風力発電プロジェクト。いずれも風車を海底に固定する着床式だ。3海域は再エネ海域利用法の促進区域に指定されており、事業者は最長30年間にわたって占用できる。両省は2020年11月~21年5月に事業者を公募。21年12月24日に選定結果を公表した。
事業者はいずれも、三菱商事系コンソーシアムだ。構成会社は、能代市・三種町・男鹿市沖と銚子市沖が三菱商事、同社の全額出資子会社で風力発電事業などを手掛ける三菱商事エナジーソリューションズ(東京・千代田)、中部電力グループの建設会社であるシーテック(名古屋市)の3社。由利本荘市沖は、秋田県内で風力発電事業を手掛けるウェンティ・ジャパン(秋田市)を加えた4社だ。
三菱商事系コンソーシアムは、3海域ともゼネラル・エレクトリック(GE)製の出力1.26万kWの発電設備を使用する。能代市・三種町・男鹿市沖で38基(総出力47.88万kW)、由利本荘市沖で65基(同81.9万kW)、銚子市沖で31基(同39.06万kW)設置。それぞれ28年12月、30年12月、28年9月に運転を開始する。