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 福島第1原子力発電所で、原子炉建屋への地下水流入を防ぐ「凍土壁」でトラブルが相次いでいる。地盤の凍結に必要な冷却液が漏洩した他、地中の温度が上昇して一部が解けた。今のところ、遮水性は維持されている。

福島第1原子力発電所の汚染水を減らす仕組み。凍土壁などを設けて、原子炉建屋への地下水の流入を抑制する(資料:東京電力)
福島第1原子力発電所の汚染水を減らす仕組み。凍土壁などを設けて、原子炉建屋への地下水の流入を抑制する(資料:東京電力)
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 凍土壁は、トンネル工事で使う凍結工法を用いて造成した。1~4号機を取り囲むように、約1m間隔で配置した地中の凍結管に、ブラインと呼ばれる冷却液を巡らせて周辺の地盤を凍らせる。凍土壁の延長は約1.5kmで、凍土量は約7万m3。2016年3月に凍結を始め、18年9月に作業を終えた。造成に投じた国費は約345億円に上る。

 東京電力によると、22年1月16日午前5時ごろ、担当者がブラインを入れたタンク2基の液位が前日よりも低下している状況を確認。タンクの液位データを見ると、午前2時30分ごろから1時間に1cmほどのペースで下がっていた。

 担当者は、ブラインの流量データから漏洩の可能性が高いと判断。午前10時ごろ、2号機と3号機の間の山側(西側)に位置するエリアで、ブラインとみられる液体がたまっているのを見つけた。午前11時ごろ、同エリア内の凍結管14本へのブラインの供給を停止。タンク内の監視を続けたところ、午後2時30分ごろに液位の低下が止まった。

 東電は、凍結管が損傷し、ブラインが漏れたと推定。損傷箇所を特定し、補修する。漏洩確認後も、周辺の地中の温度がマイナス10℃ほどで推移しているため、凍土壁の遮水性に直ちに影響はないとみている。

2022年1月16日に2号機・3号機間の西側でブライン(冷却液)の漏洩が確認された(資料:東京電力)
2022年1月16日に2号機・3号機間の西側でブライン(冷却液)の漏洩が確認された(資料:東京電力)
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