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 大量の建設発生土(残土)を用いた大規模な盛り土を計画している太陽光発電事業を巡り、山口壮環境相が計画の見直しを求める異例の対応に踏み切った。

 山口環境相は2022年1月25日、環境影響評価(環境アセスメント)法などに基づき、萩生田光一経済産業相に意見書を提出。同日の会見で、「発電事業としての必要性が確認できない大量の残土が外部から持ち込まれることを前提としている」と述べ、「地域からの懸念や不信感が生じている状況に鑑みた」と語った。

山口壮環境相が2022年1月25日に出した意見書の一部(写真:日経クロステック)
山口壮環境相が2022年1月25日に出した意見書の一部(写真:日経クロステック)
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 太陽光発電の計画見直しを求める意見書は、20年4月に同事業が環境アセス法の対象になってから初めて。意見書には「抜本的な見直しが必要であり、それができない場合は事業実施を再検討することを強く求める」と明記した。

 問題となったのは、埼玉県小川町で小川エナジー合同会社(同県寄居町)が計画している「さいたま小川町メガソーラー」。30年ほど前に開発途中で頓挫したゴルフ場の跡地約86haに、県内最大級の出力3万9600kWの太陽光発電施設を建設する。

 工事計画では、盛り土72万m3と切り土36.5万m3で土地を造成。盛り土には、切り土で発生した残土を充て、不足分の35.5万m3は建設資源広域利用センター(UCR)から受け入れる残土を使用する。UCRは、東京都や埼玉県など首都圏の自治体の他、公益企業や金融機関、建設会社が出資する株式会社で、残土の有効利用を目的に搬出先と搬入先を調整する。

 山口環境相は意見書で、工事計画の盛り土が過去の残土処分場計画の盛り土と類似している点を挙げ、「他の事業で発生した残土の搬入が計画されていることから、発電以外の事業要素を含むとの疑問が持たれる」と批判した。

 また、「UCRの取り扱う土に絞ることで、土質などの受け入れ条件に合う土だけを搬入できる」とした小川エナジーの説明も疑問視。同社が受け入れ条件を明示していないことから、適切に検討が実施されているか確認できないと突き放した。さらに、次のように断じ、土地の安定性に対する懸念を表明した。

 「大規模な森林の伐採や土地の改変が行われ、法高が特に大きい盛り土や傾斜地盤上に行う盛り土が計画されており、その盛り土予定地の一部では、過去に斜面崩壊が確認されていることに加え、土地の安定性に関わる調査が十分に実施されているとは考え難い」

「さいたま小川町メガソーラー」の土地利用計画。割合は小数第2位を四捨五入。小川エナジー合同会社の資料を基に日経クロステックが作成
「さいたま小川町メガソーラー」の土地利用計画。割合は小数第2位を四捨五入。小川エナジー合同会社の資料を基に日経クロステックが作成
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