東京都調布市で陥没事故を起こした東京外かく環状道路(外環道)の大深度地下トンネル工事を巡り、東日本高速道路会社など事業者3者が再発防止策を盛り込んだ施工方針をまとめた。停止しているシールド機7台のうち、事故現場以外の区間にある5台で掘削を再開したい考えだ。東京都練馬区や三鷹市で2022年1月23日から住民向け説明会を順次開き、理解を求めた。
国土交通省関東地方整備局と中日本高速道路会社、東日本高速の3者は21年12月24日、有識者らとつくる検討委員会の会合に施工方針を提出した。
再発防止策の主なポイントは、(1)シールド掘進地盤に適した添加材の選定など(2)塑性流動性およびチャンバー内圧力のモニタリングと対応(3)排土管理の強化(4)カッター回転不能(閉塞)時の対応――の4つだ。
20年10月に調布市で起こった陥没事故では、れきが多い地山の掘削時に土砂の塑性流動性を確保できず、土砂がチャンバー内で締め固まった。これがきっかけとなり、地山の緩みや土砂の取り込み過ぎが重なったことが陥没につながった。
そこで、塑性流動性の確保に有効な添加材選びの方針を決めるため、事故前に実施していたボーリング調査の結果を基に地山を模した土砂を用意。複数の添加材をそれぞれ混ぜて、スランプ試験などを実施した。
試験では、土砂の細粒分が10%以下、均等係数が5以下といった条件の悪い土砂でも、気泡材に替えて鉱物系の添加材を混ぜれば、7日経過しても塑性流動性が確保できることを確認した。長期休暇などで掘進を止める場合などに対応する。