建設業界で倒産の恐れのある企業が約2万6000社に上ることが帝国データバンクの調査で分かった。新型コロナウイルスの影響で売り上げが落ち込む一方、資金繰りを賄うための銀行借り入れが膨らんでいる企業が多い。就業者の減少に伴う人手不足がそうした苦境に拍車をかける。
帝国データバンクが2022年1月31日に発表した建設業界動向調査によると、21年に倒産した企業では直近の売上高が前期から平均で約26%減少。借入金などの有利子負債が月商の何倍に当たるかを示す有利子負債月商倍率は、平均で5.87倍に達していた。
通常、この倍率が5倍を超えると、有利子負債の返済が難しいといわれる。倒産企業では、売り上げの減少と借り入れの増加で、経営が行き詰まったとみられる。
そこで帝国データバンクは、建設業界で「減収26%以上」「有利子負債月商倍率5.87倍以上」に該当する企業を調べた。その結果、両方の要件を満たす「破綻リスク先」は、調査対象の5.7%に当たる約2万6000社に上ることが判明した。
新型コロナの感染拡大前の18年度は、破綻リスク先が約1万4600社だった。建設業界では、コロナ禍の影響で破綻リスク先が2倍近くまで増えた。