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 建設業の担い手確保を目的に技能者の処遇改善を目指す取り組みが逆に、労務費削減を目的とした規制逃れの「偽装一人親方」を生むパラドックスに陥っている。国土交通省の社会保険加入対策はその代表例だ。新たな保険料負担を嫌う企業が社員を名ばかりの個人事業主として独立させる動きが相次いでいる。

一人親方の類型。右側が「偽装一人親方」の疑いのある例(資料:国土交通省)
一人親方の類型。右側が「偽装一人親方」の疑いのある例(資料:国土交通省)
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 国交省は、社会保険の加入に関する下請指導ガイドラインを改定し、偽装一人親方の防止対策を強化。元請けの再三の指導に応じず、偽装一人親方に仕事を出し続ける下請けには工事現場への入場を禁じるよう求める。2022年2月1日から3日3日まで改定案へのパブリックコメント(意見公募)を実施。4月1日に施行する。

 下請指導ガイドラインは、建設業の社会保険加入に関して元請けと下請けが負うべき役割と責任を明確にした指針だ。技能者の処遇向上による担い手の確保や、法定福利費を適正に負担する企業による公平で健全な競争環境の構築を目的に、12年11月に施行した。

 今回の改定では、「適正一人親方」と偽装一人親方の違いを明示。元請けには、一人親方の労働実態と適切性を確認した上で、「偽装」の場合は下請けに雇用契約の締結を指導し、応じない企業は下請けとして選定しないよう要請する。

技能者の内訳と一人親方の推計人数(資料:国土交通省)
技能者の内訳と一人親方の推計人数(資料:国土交通省)
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業種別・発注者別の一人親方の状況。総合建設会社では建築、専門工事会社では仕上げ、発注者では民間企業の分野で一人親方が目立つ(資料:国土交通省)
業種別・発注者別の一人親方の状況。総合建設会社では建築、専門工事会社では仕上げ、発注者では民間企業の分野で一人親方が目立つ(資料:国土交通省)
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