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 首都圏中央連絡自動車道(圏央道)横浜環状南線の桂台トンネル(横浜市)で掘削中に故障したシールド機が約7カ月ぶりに掘削を再開した。シールド機の製作時にボルトを締め過ぎたため、掘進中にボルトが破断してギアやモーターを損傷させた。

故障したピニオンギアの様子。モーターとギアを固定する金属板とボルトが外れている(資料:東日本高速道路会社)
故障したピニオンギアの様子。モーターとギアを固定する金属板とボルトが外れている(資料:東日本高速道路会社)
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 東日本高速道路会社が工事を発注し、2021年1月に釜利谷ジャンクション(JCT)側のたて坑から上り線トンネルの掘進を始めた。施工者は大成建設・フジタ・銭高組JVだ。シールド機はJIMテクノロジー(川崎市)製で、外径15.28m、長さ11.85m、重さ2350t。

 21年7月14日、390m掘り進めた地点でカッターのモーターから異音が生じたため、作業を停止した。シールド機の故障や停止に伴う地上への影響は出ていない。22年2月14日に掘進を再開した。

シールド機は390m掘進した地点で約7カ月停止した。1台で上下線のトンネルを掘削する予定(資料:よこかんみなみ)
シールド機は390m掘進した地点で約7カ月停止した。1台で上下線のトンネルを掘削する予定(資料:よこかんみなみ)
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 モーターとギアを外し、JIMテクノロジーの工場に持ち込んで点検したところ、カッターを動かす250kWのモーター16台のうち9台が損傷していた。モーターにそれぞれ接続した「ピニオンギア」では、16点全てに割れや欠けなどが発生。ピニオンギアとかみ合うカッター側の「大ギア」にもひび割れが見つかった。

シールド機の構造。16台のモーターでカッターヘッドを回転させている(資料:東日本高速道路会社)
シールド機の構造。16台のモーターでカッターヘッドを回転させている(資料:東日本高速道路会社)
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モーターやギアの破損状況。ピニオンギアは全て損傷している(資料:東日本高速道路会社)
モーターやギアの破損状況。ピニオンギアは全て損傷している(資料:東日本高速道路会社)
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 一部のピニオンギアでは、モーターの軸にピニオンギアを固定する金属製の「押さえ板」が、ボルトの破断によって外れていた。ボルト自体の強度に問題はなかった。シールド機の掘進エリアは主に砂岩層や泥岩層といった一般的な地層で占められ、外部からボルトや押さえ板に想定外の力がかかった可能性も見当たらなかった。

ボルトの締め過ぎによってボルトと押さえの金属板が変形した(資料:東日本高速道路会社)
ボルトの締め過ぎによってボルトと押さえの金属板が変形した(資料:東日本高速道路会社)
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 シールド機の製造時と同じようにボルトを締めてピニオンギアの組み立て作業を再現したところ、押さえ板が変形した。ボルトの締め付け力が過大だったとみられる。過去に同様の事故がなかったため、締め付けトルクの管理値を設けていなかった。

 東日本高速はこれらを踏まえ、組み立て時の締め過ぎでボルトが破断し、大ギアとピニオンギアに挟まれたことがシールド機の故障につながったとみている。