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 2022年度の公共事業の積算に使う労務単価や技術者単価には、国が賃金相場を先導する「官製賃上げ」の様相が色濃く表れている。

 国土交通省が1カ月前倒しで22年3月から適用する労務単価は前年度と比べて全国・全職種の単純平均で2.5%、技術者単価は全職種の単純平均で3.2%の上昇となった。労務単価の地域・職種ごとの人数の多寡を反映した加重平均は2万1084円で、技術者単価の全職種の単純平均は4万2195円。いずれも10年連続で上昇し、過去最高を更新した。国交省が2月18日に公表した。

労務単価の推移(資料:国土交通省)
労務単価の推移(資料:国土交通省)
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技術者単価の推移(資料:国土交通省)
技術者単価の推移(資料:国土交通省)
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 国が単価を引き上げて民間に賃上げを求め、民間の賃上げを基に国がさらに単価を引き上げるマッチポンプ的な手法で実現した。斉藤鉄夫国交相は、新単価を公表した2月18日の会見で、次のように語っている。

 「政府の最重要課題として賃上げに向けた取り組みが進められる中で、労務単価などの引き上げが現場の技能労働者の賃金水準の上昇につながる好循環が持続されるよう、官民一体となって取り組みの一層の推進に努めていく。全国の建設会社の経営者に、今回の改定が現場で働く人々の賃上げに直接結びつくように心からお願いする」

 労務単価は、毎年10月に実施する公共事業労務費調査を基に設定する。国の直轄工事などに従事する建設労働者への賃金の支払い状況を確認し、都道府県別・職種別に1日(8時間)当たりの金額を決める。民間企業の賃金水準が上がれば、国の労務単価も上がる仕組みだ。

 22年度の労務単価も基本的に、この仕組みで上昇した。日本建設業連合会(日建連)と全国建設業協会(全建)、全国中小建設業協会(全中建)、建設産業専門団体連合会(建専連)の4団体は、21年に2%以上の賃金上昇を図る目標を掲げていた。21年10月の労務費調査までに、多くの建設会社がその目標に基づいて賃上げを実施したとみられる。ただしその背景には、国交省の強い働き掛けがあった。

主要12職種の労務単価(資料:国土交通省)
主要12職種の労務単価(資料:国土交通省)
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