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 鹿島はオランダの海洋土木会社バンオードの日本法人とJVを組み、三菱商事系のコンソーシアム(企業連合)が秋田県沖と千葉県沖の計3海域で進める洋上風力発電事業の建設工事に参画する。三菱商事系コンソーシアムが両社を3海域の協力企業(海洋工事業務の優先交渉権者)に選定した。鹿島が2022年2月24日に発表した。

経済産業省と国土交通省が着床式洋上風力発電の事業者を公募した3海域。左から「秋田県能代市、三種町及び男鹿市沖」「秋田県由利本荘市沖」「千葉県銚子市沖」。いずれも一般海域で、再エネ海域利用法の促進区域に指定されている(資料:経済産業省、国土交通省)
経済産業省と国土交通省が着床式洋上風力発電の事業者を公募した3海域。左から「秋田県能代市、三種町及び男鹿市沖」「秋田県由利本荘市沖」「千葉県銚子市沖」。いずれも一般海域で、再エネ海域利用法の促進区域に指定されている(資料:経済産業省、国土交通省)
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 鹿島JVが参画するのは、再エネ海域利用法の促進区域に指定された「秋田県能代市、三種町及び男鹿市沖」「秋田県由利本荘市沖」「千葉県銚子市沖」の一般海域における着床式洋上風力発電プロジェクトだ。経済産業省と国土交通省が事業者を公募し、21年12月24日に選定結果を公表した。

 事業者に選定された三菱商事系コンソーシアムは、経産省と国交省が公募で示した売電価格の上限(29円/kWh)を大幅に下回る破格の金額を提示して、3海域のプロジェクトを独占した。売電価格は能代市・三種町・男鹿市沖で13.26円/kWh、由利本荘市沖で11.99円/kWh、銚子市沖で16.49円/kWh。両省の上限価格を4~6割ほど下回る。国が30~35年の洋上風力発電コストとして掲げる8~9円/kWhの目標の達成が視野に入る水準だ。

 三菱商事系コンソーシアムは、3海域で発電した電力を国の固定価格買取制度(FIT)を利用して売電する。その財源は、利用者の電気料金に上乗せされる再生可能エネルギー発電促進賦課金で賄われる。三菱商事系コンソーシアムの「価格破壊」に対する批判は多いものの、28~30年に予定している発電所の運転が計画通り実施できれば国民負担の軽減につながる。その成否を占う試金石の1つとなるのが、鹿島JVが担う洋上風力発電設備の建設工事だ。

 鹿島JVは、3海域で風車の基礎や海底ケーブルなどの工事を手掛けるとみられる。三菱商事系コンソーシアムは3海域とも、風車の基礎として、「モノパイル」と呼ばれる大口径鋼管杭を海底に打設する。着床式洋上風力発電では、本場の欧州をはじめ、世界的に主流となっている基礎形式だ。

 鹿島は、秋田県沖の別の着床式洋上風力発電事業でも、モノパイル形式の基礎の施工に携わっている。丸紅や大林組など県内外13社が設立した特別目的会社の秋田洋上風力発電(秋田市)が、22年末の稼働を目指す国内初の大型商用プロジェクトだ。港湾法に基づく事業で、秋田港と能代港の港湾区域に着床式の風車(出力4200kW)計33基を設置する。鹿島は住友電気工業とJVを組み、基礎や海底ケーブルなどの工事を受注した。

 三菱商事系コンソーシアムは、今回の3海域のプロジェクトで、米ゼネラル・エレクトリック(GE)製の出力1.26万kWの風車計134基を使用する。同一機種を大量に導入すれば、調達コストを低減できる。メンテナンス作業の効率化で保守・運営コストも抑制できる。同一企業に工事を一括して発注すれば、建設コストの削減も見込める。ただ、日本でこれほど大型の風車を一斉に設置するのは異例だ。国内の洋上風力発電工事のパイオニアともいえる鹿島に施工を託した格好だ。

3海域の洋上風力発電プロジェクトの事業者選定結果。経済産業省と国土交通省の資料を基に日経クロステックが作成
3海域の洋上風力発電プロジェクトの事業者選定結果。経済産業省と国土交通省の資料を基に日経クロステックが作成
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