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 大林組と名古屋大学発のベンチャー企業TOWING(トーイング、名古屋市)は、月の模擬砂を土壌に使ってコマツナの栽培に成功した。月面の資源を土壌として利用した農業が可能になれば、食物の輸送コストを大幅に削減できる。

月の模擬砂を原材料とした人工土壌で栽培したコマツナ(写真:TOWING)
月の模擬砂を原材料とした人工土壌で栽培したコマツナ(写真:TOWING)
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 月の表面は、レゴリスと呼ばれる軟らかい砂の堆積物で覆われている。粒子が細か過ぎて、そのままでは植物栽培に適さない。小さな穴や凹凸を持つ多孔体の形に変化させる必要があった。

 今回の実験では、レゴリスを模した模擬砂に水と空隙形成材を混ぜて造粒した後、マイクロ波で加熱して水分を蒸発させ、さらに温度を上げ空隙形成材も焼失させて多孔体にした。

 多孔体になると保水性が上がり、微生物が定着しやすくなる。焼成直後の多孔体には、土壌由来の微生物を人為的に添加する。さらに成分を調整した有機物を肥料として加え、温度・湿度などの条件を整えることで、野菜など作物の生育に適した人工土壌が完成する。

 有機物には、人間の排せつ物や食品残渣(ざんさ)など廃棄物を利用する。多孔体に固定した微生物が有機廃棄物を分解し、植物の養分となる硝酸態窒素などの無機物に変えるため、化学肥料は不要となる。

月の模擬砂から製造された多孔体(写真:大林組)
月の模擬砂から製造された多孔体(写真:大林組)
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