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 東北・北海道沖の日本海溝・千島海溝沿いで発生が予想されるマグニチュード9クラスの巨大地震で、最大約20万人と推定される死者数を、津波対策の強化などによって8割程度減らせる可能性があることが分かった。政府の中央防災会議の作業部会が2022年3月22日に公表した報告書で指摘した。

日本海溝・千島海溝地震の検討領域(資料:内閣府)
日本海溝・千島海溝地震の検討領域(資料:内閣府)
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 日本海溝・千島海溝地震では、岩手県から北海道にかけて巨大な津波が来襲する恐れがある。岩手県宮古市では最大約30m、北海道えりも町では最大約28mと、岩手県中部以北では11年の東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)を上回る高さの津波の発生が想定される。

 津波による被害は東日本の太平洋岸の広範囲に及ぶ。死者数は日本海溝地震で最大約19万9000人、千島海溝地震で最大約10万人と推計した。

 地震が冬季に発生した場合は、東北や北海道など寒冷地に特有の被害が生じる恐れがある。その1つが低体温症だ。津波から逃れた後に屋外や屋内の寒い場所に長時間とどまると、低体温症による死亡リスクが高まる。低体温症要対処者数は、日本海溝地震で約4万2000人、千島海溝地震で約2万2000人に上るとみられる。

 地理的な課題もある。北海道のように平地が広がる地域では、津波から逃れるために徒歩で高台まで避難するのは困難が伴う。吹雪や積雪などの影響を受ける冬季は一層、徒歩による避難が難しくなる。

 地震による人的被害を抑えるには、寒冷地に特有の課題と地理的な課題の両方に対処する必要がある。具体的には、雪や寒さを防ぐ避難施設や避難路の整備、避難場所での防寒具や暖房器具の装備、防災教育・訓練を通じた住民の避難意識の向上などに取り組む。

被害が最大となるケースの推計値(資料:内閣府)
被害が最大となるケースの推計値(資料:内閣府)
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