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 静岡県熱海市で発生した土石流で、起点にあった盛り土に周辺の川などから地下水が流入し、大規模な崩落を誘発した可能性があることが分かった。土石流の原因を調査している県検証委員会が2022年3月29日に公表した中間報告書で指摘した。

 21年7月3日に発生した土石流で、災害関連死1人を含む27人が死亡し、1人が行方不明となっている。住宅被害は、全壊家屋53戸を含む136戸に及んだ。

2022年7月3日にドローンで撮影した土石流の発生源域(写真:静岡県)
2022年7月3日にドローンで撮影した土石流の発生源域(写真:静岡県)
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逢初川の源頭部周辺の概況(資料:静岡県)
逢初川の源頭部周辺の概況(資料:静岡県)
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 報告書によると、土石流の起点は、市の北東部を流れる逢初川の源頭部の標高350~400m付近。源頭部は、北側の鳴沢川と南側の寺山沢に挟まれ、北西部に標高734mの岩戸山がある。逢初川は両岸を高い尾根に挟まれたV字谷の形状で、源頭部は鳴沢川や寺山沢と比べて渓床の標高が20~30mほど低い。

 21年6月末から日本列島を北上した梅雨前線は、7月1日~3日に西日本から東日本にかけて停滞。数日間にわたって断続的に雨が降り続いた。気象庁の観測では、県内の複数地点で72時間降水量が過去最高を更新。降雨による土砂災害の危険度を示す土壌雨量指数も最大となった。

土石流発生時の降雨の状況(資料:静岡県)
土石流発生時の降雨の状況(資料:静岡県)
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 災害当日の7月3日は、午前8時30分から谷出口で濁水を確認。午前10時28分ごろに、土石流が「爆発するような勢い」で谷出口に到達し、建設資材倉庫や人家を押し流した。10時53分には逢初川の源頭部の左岸側が崩落。55分に最大規模の段波(第2波)が発生し、多くの人家が損壊した。第2波は流速約8~9m/秒、流量約2000m3/秒と推定される。その後も段波は続き、少なくとも7波が確認された。

土石流の発生状況(資料:静岡県)
土石流の発生状況(資料:静岡県)
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