全1289文字
PR

 鉄道総合技術研究所は、地震や大雨によって崩壊した盛り土の復旧工事で、独自の専用かご枠を用いる新手法を開発した。従来の手法よりも早期の本復旧が可能だ。復旧後に地山補強材の追加施工もできる。2019年の東日本台風で被災した三陸鉄道リアス線の盛り土の復旧工事に初採用した。今後は鉄道に限らず道路や河川など他分野での活用も進める。

 新手法は、(1)土砂の撤去と整地(2)かご枠の組み立て(3)砕石の中詰め(4)転圧(5)断面確保(6)列車の運行再開――の手順で施工する。使用する専用かご枠は、平面的な金網に分割して保管でき、運搬が容易で特別な工事が不要だ。かご枠自体を恒久的に利用できるので、応急復旧を省略でき、工期の短縮、工費の縮減につながる。

状況に応じて新手法(左)と従来手法(右)を使い分けることが有効。新手法は大型土のうに代えて、恒久的に利用できるかご枠で盛り土を復旧させる(資料:鉄道総合技術研究所)
状況に応じて新手法(左)と従来手法(右)を使い分けることが有効。新手法は大型土のうに代えて、恒久的に利用できるかご枠で盛り土を復旧させる(資料:鉄道総合技術研究所)
[画像のクリックで拡大表示]

 従来の手法では、まず大型土のうで被災した盛り土を応急復旧。次に、徐行で運行を再開しながら本復旧工事に取り組む。その際、仮土留めの施工後に大型土のうの撤去が必要となる。こうした工事の複雑さが、工期の長期化や工費の増大につながっていた。

 新手法を採用すると、従来手法よりも全体工期を約3割、工費を約6割縮減できる。ただし、列車の運行再開までに必要な日数が長くなる。被災線区の重要性などを踏まえ、徐行でも運行再開を優先する場合は従来手法を、全体の工期・工費を重視する場合は新手法をといった形で、使い分けることが有効になる。

かご枠の内部に保孔管を設けて空間を確保し、地山補強材を追加施工できるようにした。列車の運行を再開しながら耐震性能を強化できる(写真:鉄道総合技術研究所)
かご枠の内部に保孔管を設けて空間を確保し、地山補強材を追加施工できるようにした。列車の運行を再開しながら耐震性能を強化できる(写真:鉄道総合技術研究所)
[画像のクリックで拡大表示]

 新手法では、専用かご枠の内部に塩ビ製の保孔管を設けて空間を確保し、鋼材やセメントなどで構成する円柱状の地山補強材を追加施工できるようにした。かご枠による被災盛り土の復旧後、列車の運行を再開しながら耐震性能を強化できる。通常のかご枠では、中詰め材を貫通して補強材を施工することが困難だった。専用かご枠に砕石を中詰めすることで排水性能も高まる。