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 2009年にいったん中止となった熊本県の川辺川ダム建設計画の復活に伴い、中止を前提に整備した地域振興施設が水没範囲に入ることが分かった。国土交通省と熊本県が22年4月10日に同県五木村で住民説明会を開き、ダムが完成した場合の水没規模に関するシミュレーション結果を明らかにした。

熊本県五木村で10年に1回程度の規模の洪水が起こった際、流水型ダムで洪水調節した場合の浸水範囲イメージ(資料:国土交通省川辺川ダム砂防事務所)
熊本県五木村で10年に1回程度の規模の洪水が起こった際、流水型ダムで洪水調節した場合の浸水範囲イメージ(資料:国土交通省川辺川ダム砂防事務所)
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 球磨川支流の川辺川では当初、水を常時ためる貯留型ダムを建設する予定だったが、住民や県の反対を受けて計画を白紙撤回した。しかし、20年7月の豪雨で球磨川流域に甚大な被害が発生したことを踏まえて方針を転換。国は、貯留型ダムの計画を廃止したうえで、洪水時のみ貯水する流水型ダムを建設する考えを示した。

 貯留型ダムが完成すれば水没する予定だった五木村の川辺川沿いでは、住宅や公共施設を高台の代替地へ移転した。ダムの建設計画が中止となった後は、地域振興策として川沿いに宿泊施設「渓流ヴィラITSUKI」や公園「五木源(ごきげん)パーク」を整備した。

 国交省は、新たに建設する予定となった流水型ダムが完成した場合を想定し、1953~2020年に球磨川流域で起こった202回の洪水のデータを基に、浸水範囲をシミュレーションした。

 その結果、移転済みの住宅や公共施設は水没しないことが分かった。しかし、渓流ヴィラITSUKIは10年に1回程度の規模の洪水で水没。これより5mほど高い土地に整備した五木源パークも、15年に1回程度の規模の洪水で水没する。

 国や県はこれらの施設について、移転するかどうかなどを村と協議する方針だ。