インフラの老朽化対策に熱心な市区町村長が集結して、課題解決に知恵を絞る場が発足した。全国の市区町村の約4割に当たる約700の首長が参画する。2022年4月28日に、都内の会場で設立式典を開催した。今後、自治体間の連携強化につながりそうだ。
発足したのは、「インフラメンテナンス市区町村長会議」。国土交通省が事務局を担当する産官学連携の枠組み「インフラメンテナンス国民会議」(以下、国民会議)が設立した。全国を9ブロックに分け、それぞれ幹事を選出した。9ブロック全体の代表幹事は、東京都稲城市の高橋勝浩市長が務める。
今後、定期的に全国の幹事が一堂に会したり、ブロックごとに市区町村長が集まったりする予定だ。効率的な維持管理手法の先進事例や課題について情報共有し、関連施策の推進に弾みをつける。必要な補助金などの確保に向け、世論喚起も図る。
設立式典には各ブロックの幹事の他、国民会議の副会長を務める政策研究大学院大学の家田仁特別教授らが出席した。
「式典の合間に、さっそく有意義な意見交換を行えた」と、家田特別教授は手応えを語る。直接顔を合わせて危機感を持った議論ができるようになったことに加え、やる気のある自治体が一目瞭然となったので、国民会議から支援を提供しやすくなったという。
設立の背景には、国や高速道路会社と比べて、市区町村での老朽化対策が不十分な現状がある。
特に小規模な自治体で、技術職員不足が深刻だ。例えば、橋梁保全業務に携わる土木技術職員がいない自治体の割合は、全国の町で23%、村で57%に上る。そうした人材不足の解消に向けて、効率的な維持管理手法の導入が喫緊の課題となっている。