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 愛知県豊田市にある取水施設「明治用水頭首工」で大規模な漏水が発生し、自動車関連企業などへの工業用水の供給が止まる恐れが出ている。水門の上流側の河床から、地中に生じた水みちを通って下流側に流出しているとみられる。上流側の水位が低下し、取水できなくなった。

下流側から見た明治用水頭首工の水門。水門の上流側で水が吸い込まれるように流出し(赤枠)、下流側の水たたき部から噴き出している(青枠)。2022年5月18日早朝に撮影(写真:大村 拓也)
下流側から見た明治用水頭首工の水門。水門の上流側で水が吸い込まれるように流出し(赤枠)、下流側の水たたき部から噴き出している(青枠)。2022年5月18日早朝に撮影(写真:大村 拓也)
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 明治用水頭首工は、豊田市内を流れる矢作川から工業用水や農業用水を取り込むための施設だ。水門を閉じて上流側の水位を上げ、取水口から水路へ水を引き込む。水路の下流に位置する安城浄水場(愛知県安城市)では、水路の水を利用して豊田市や安城市など県内9市3町の131事業所に工業用水を供給している。

頭首工と浄水場の位置図(資料:愛知県)
頭首工と浄水場の位置図(資料:愛知県)
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 頭首工を所管する農林水産省東海農政局によると、2022年5月15日に現地で漏水を確認。16日に漏水箇所を塞ぐため砕石を投入したが、状況は改善しなかった。17日に漏水範囲が拡大して上流側の水位が低下した。

 明治用水頭首工では、21年12月にも漏水が確認されている。その際は、河床に薬液を注入して止水した。

2022年5月17日早朝に撮影した水門の上流側。河床に水が吸い込まれている(写真:愛知県)
2022年5月17日早朝に撮影した水門の上流側。河床に水が吸い込まれている(写真:愛知県)
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2022年5月17日早朝に撮影した水門の下流側。河床から水が噴き出している(写真:愛知県)
2022年5月17日早朝に撮影した水門の下流側。河床から水が噴き出している(写真:愛知県)
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