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 川崎市などで2022年5月13日夜に発生した大規模な停電は、川崎市上下水道局が発注した水道管の補強工事で地中の送電管を破損したのが原因だと分かった。施工者の真成開発(川崎市)は、工事現場の周辺に東京電力の送電管があることを認識しながら、正確な位置を確認していなかった。市上下水道局が5月17日に公表した。

水道管の補強工事で損傷した送電管(写真:川崎市上下水道局)
水道管の補強工事で損傷した送電管(写真:川崎市上下水道局)
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 市によると、施工者は5月13日午後10時に、市内の市道で水道管の補強工事を開始。たて坑を造るため、周囲の地盤を固める薬液の注入作業を進めていた。

事故現場の位置図(資料:川崎市上下水道局)
事故現場の位置図(資料:川崎市上下水道局)
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 停電が発生したのは午後10時半ごろ。施工者は14日午前2時ごろに原因調査で工事現場を訪れた東京電力の社員から、当該工事が停電を引き起こした可能性があるとの指摘を受け、工事を中断した。

 5月16日夜から調査のため現場を掘削し、送電管の損傷を確認した。地下約5mまで打ち込んだ直径約4cmの薬液注入用パイプが、4本の送電管を貫通していたことが分かった。送電管は直径約15cmで、地下約1.5mに12本埋まっていた。

薬液注入用パイプを打ち込んだ際、送電管4本を貫通した(写真:川崎市上下水道局)
薬液注入用パイプを打ち込んだ際、送電管4本を貫通した(写真:川崎市上下水道局)
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