首都高速道路会社が「第2期」の大規模更新・修繕に向けた検討を進めている。有識者でつくる技術検討委員会(委員長:前川宏一・横浜国立大学大学院教授)を2021年12月に設置して議論を開始。委員会での検討に併せて22年5月20日、湾岸線の荒川湾岸橋(東京都江東区、江戸川区)の損傷状況を報道陣に公開した。22年末までに今後の大規模更新・修繕の方針を決める。
荒川湾岸橋は、1975年に完成した橋長840mの鋼7径間ゲルバートラス橋だ。中央の径間が、両側の橋脚からそれぞれ張り出したトラス構造の端部に長さ70mの箱桁を載せたゲルバー構造になっている。
現在、荒川湾岸橋には西側(江東区側)の橋台から中央径間にあるトラス構造の端部まで結ぶ吊り足場を組んでいる。トラス構造の端部付近で見つかったガセットプレートの破断を補修するために架けたものだ。5月20日の現地公開では、この足場を使って鋼材などの損傷を確認した。
ガセットプレートとは、鋼材同士を接合するための鋼板だ。破断箇所以外に、F11T高力ボルトの遅れ破壊による抜け落ちも見られた。鋼材の塗装があちこちで剥がれ、腐食が目立つ。亀裂や破断などの損傷は、橋全体で376カ所に及ぶ。
荒川湾岸橋では今後、破断したガセットプレートや高力ボルトの交換などを進める。このような損傷に応じた対処は、通常の補修という位置付けだ。しかし、完成から47年を経た荒川湾岸橋は老朽化が激しく、個別対応の補修だけでは橋全体の健全性を保てなくなりつつある。